史上最多56人の候補者全員を直撃取材! 東京都知事選「人生激場」
史上最多となる56人が立候補した東京都知事選挙。主要候補だけではなく、全員に取材して、彼らの公約や目的、言い分を聞いた。日本の首都・東京の未来を託すのは誰がふさわしいのか。この特集をじっくり読んで考えてほしい。 【写真】56人の候補者全員を直撃!(57枚) ■有名人だけが候補者じゃない! 会うのが大変だった。これまで取材してきた選挙でも、政見放送なし、選挙公報なし、選挙ポスターなし、街頭活動なしという候補者はいた。しかし、今回は異例中の異例だ。 勾留中で接見禁止の候補者がいたり、ネットだけで選挙をする候補者がいたりする。 それでもなんとか、なんらかの方法で全候補者の思いを知ることができた。56人56様の"人生激場"を届け出順に紹介していく。 郵便局員の野間口翔(のまぐち・しょう)は出馬表明記者会見を開いていない。Xのアカウントを開設したのも5月。事前情報がない中、告示日に勝算を聞いた。 「今回の選挙は知名度ありきの選挙になっています。しかし、自分の政策論が報道されて解説されればチャンスはあるのかな、と」 野間口は選挙公報で「デフレギャップを解消するまでは積極的財政」と主張している。ほかの候補との違いは? 「公務員試験の勉強で経済学をひと通り把握している。ほかの方はマクロ政策を述べない。自分の一番の強みはそこです」 さわしげみは民間外交家。長髪に羽織袴で長く伸びた口ひげは、出馬表明時から異彩を放っていた。「現代の織田信長」を自称し大きな声で話す。1番目に挙げた政策は「子供ひとり(15歳までの子供)につき年間100万円を給付する」 意気込みを聞かせてください。 「これは私の選挙ではない! 東京をどのように導くのか、皆さんが最高の人を選ぶための究極のチャンスです! 一番良い方に投票してください!」 医師の大和行男(やまと・ゆきお)には大田区のクリニックで話を聞いた。約束の時間に訪ねると受付に誰もいない。声をかけると奥のほうから大和が小走りで出てきた。 「受付も診察も薬の処方も会計もひとりのワンオペです」 受付にも人がいないとは! 専門は児童精神科だが、なんでも当日診る「赤ひげ診療」や日曜診療もやっているという。どんな政策を? 「病児保育所の増設で雇用を生みたい。都立病院の日曜休日診療も広げたい。女性医師・看護師の育児明けの再教育・雇用支援もやりたい。まずは医療従事者の働く環境を改善したいですね」 大田区だけでなく八王子市高尾にもクリニックがある。いずれも黒字だというが、大和の勤務は「週6」だ。 「もともと休みは木曜と日曜日の午後だけ。選挙中も通常どおり診療は続けます。休みの間だけ選挙カーなしのワンオペ選挙をやります」 自分の体は大丈夫なのか。 「なんとか大丈夫です(笑)」