「ラグビーかサッカー、どっちが簡単か」「好きなものを、好きな時に」田村優が育成年代の子供達に伝えた、一流になるための条件
「好きなものを、好きな時に」一流になるために必要な“成功の条件”
冒頭こそ静寂に包まれた田村のセッションでは、時間が経つほど多くの質問が出た。関係者によると、ここまでのアルゴスのミーティングでは例にないほど手が挙がったという。話者の素直さが共鳴を生んだのだろう。 まとめの一言は。 「華やかなプレーに目が行きがちですけど、やっぱり突き詰めるところは『しっかりダウンボール(地面に球を置く動作)はできたのか』『しっかりボールは捕れたのか』『しっかりサポートに走れていたのか』という基本プレーです。あとは、(ラグビーは)楽しいスポーツで、これから外国人と出会う可能性もあって。そういうなかで、コミュニケーションを取れる性格であったほうがいいかなとは。いま(キャンプで)社交的になれるチャンスをもらっているわけですし」 ちなみに、トップアスリートとしての食への意識を聞かれれば……。 「好きなものを、好きな時にいっぱい食べる。栄養士の方がいる前であれですけど」 もっとも、その「好きなもの」は「肉、魚、野菜」。国産にこだわる。試合前日には、茶碗2~3杯分の白米でエネルギーを蓄えるとも伝えた。 田村が去ってから、「栄養士」である前出の金子氏は生徒たちに言った。 「田村選手が食べている好きなものって、この合宿で私が『食べてくださいね』と言っているものと一緒じゃないですか? 田村選手は、自分にとって必要なものが、食べたいものになっているんです。自分にとって必要なものをいっぱい摂り入れると、それがだんだん欲しいものになっていきます」 その人にとっての楽しいこと、もしくは好きなことが、その人の歩んでいる道で一流になるのに必要なことと結ばれている。成功の条件だ。 <了>
文=向風見也