アニメ『【推しの子】』ED曲が大人気!【羊文学】心と体のバランスのとり方は?
累計発行部数1700万部を突破したメガヒット漫画『【推しの子】』(原作:赤坂アカ×横槍メンゴ)。この7月からスタートした本作のアニメ第二期で、エンディング主題歌を担当しているのが3人組の人気オルタナティブロックバンド・羊文学。今回はヴォーカルの塩塚モエカさんと、ベースの河西ゆりかさんがyoiに初登場!インタビュー後編では、自分との向き合い方や人との距離感の取り方について伺いました。 【羊文学】河西ゆりか、塩塚モエカ インタビューフォトギャラリー
■塩塚さん「カウンセリングで“我慢しすぎている”と言われたことがあって」 ──塩塚さんは、自分を整える方法を模索する中で、「気にしないこと」が大事だと気づいたとのことですが、その考えにはどのようにして辿り着いたのでしょうか。 塩塚モエカさん(以下、塩塚):以前、カウンセリングで「我慢しすぎている」と先生に言われたことがあって。それまで私は、「嫌われないように」、「間違えないように」とか、すごく周りを気にして生きていたんですが、先生にそう言われてからは、誰かに嫌われたとしても、「自分が心地いい」と感じることを追求しよう、という考えにシフトすることができました。それと、インスタで見つけた辻仁成さんの「嫌われてもいい。嫌われよう」といった内容の投稿も、そういった思考への切り替えを後押ししてくれたと思います。この言葉のおかげで、めちゃくちゃ元気になれたんです! そういえば、友人におすすめされて「気にしない練習」という本も読んだんです。心理学の視点からブッダの教えが書かれていて、それからは“事実だけを見ること”を学びました。例えば、ある人が言い放ったことに対して、いろんな方向からその言葉の意図を推測することができるけど、それをしすぎると心がすり減ってしまう。事実だけに目を向けて、気にしすぎないことも大切だね、と友達と話し合ったりしています。 ──友人間でセルフケアについての話もされるんですね。メンバー間でも、そういったことについて話すことはあるのでしょうか。 河西ゆりかさん(以下、河西):私は、モエカのように考えすぎて疲れるということが全くないタイプ。だから、そういった面のケアの話をメンバー間ではしないですが、調子が悪そうなメンバーがいたら、ビタミン剤や栄養価が高そうな食べ物とか、お見舞いの品を届けたりします(笑)。 ちなみに、私はセルフケア方法として、今年から筋トレを頑張っています。年齢を重ねて疲れやすくなったので、筋トレをしてみたら身体が丈夫になるだけでなく、運動後にタンパク質をたくさん摂ることで、髪も肌もきれいになる。「筋トレってめっちゃいいじゃん!」となり、週1~2回、短い時間でも体を動かすようにしています。おかげで、マインド面も以前より丈夫になった気がします。あと、私はどんなに忙しくても、ゲームをするとか、自分の時間をしっかりと作ることは心がけていますね。 塩塚さん:ゆりかちゃんは、フェスやツアーで忙しい時も、朝早くに起きてホテルのお風呂に入ったりしているよね。 河西さん:たしかに(笑)。朝5時に起きて、わざわざ温泉に入りに行っているかも。 塩塚さん:そういう姿を見ていると、自分の時間の使い方が上手だなと思う。あと私は、自分と他人との境界線が薄いけれど、ゆりかちゃんは、自分は自分、人は人という他者との線引きがしっかりしているところも素敵だなと。オンオフの切り替えや、人間関係の線引きの権化だよね(笑)。 河西さん:権化って(笑)。 塩塚さん:私は最近、境界線をピーって引く実験をしているところ。そうしたら、ちょっと疲れにくくなってきた気がします。 ■河西さん「自分が暗い気持ちのときは、人と一定の距離を置く」 ──他人との境界線を引く練習は、どのようにしているのでしょうか。 塩塚さん:これまでの私は、初めて会った人でも、仲良くなりたいと思ったらすぐに自分の内面の話をしていました。そうして自分から距離感を縮めることで、たくさん仲の良い友達ができたのでいいことでもあるのですが、最近はそれを辞めたんです。そんなに焦って相手のことを知ったり、仲良くなろうとしなくてもいいんじゃないかと思って。自分の内面を相手に伝えなくても、仲良くなりたい人とは楽しい瞬間が作れることに気づいたんです。 ──そう気づいてから、コミュニケーションを取る上で大切にしていることは何ですか? 塩塚さん:「相手に対して自分の理想を求め過ぎないこと」かな。あと、まずは自分の土壌を整えることが大切。仲良くなる時は自然と仲良くなるし、ちょっとでも無理した状態でコミュニケーションを取ると、相手との間に小さい亀裂が生まれるから、できるだけ自分に集中して、自分が整った状態で人と話せるようにしていますね。 河西さん:私は自然体でいて、仲良くなれたらラッキーくらいの気持ちでいることかな。そこまで相手との関係について深く考えない! あと、自分が暗い気持ちのときは、一定の距離を置くといいと思います。 ■国内外の活動を通して、自分の中で変わったこと ──最後に、バンドの活動の幅を国内外に広げたことで、ご自身に起きた変化を教えてください。 河西さん:たくさんあるのですが……。ひとつは、バンドの規模が大きくなり、私たちに関わってくださるスタッフさんが増えるにつれて、今の活動は自分たちだけでは成り立たないと痛感するようになったことかな。以前から感じていたことですが、支えてくださるみなさんへの感謝の気持ちが増したと思います。あと、これまでは、自分たちのライブをお客さんに“ぶつける”といった感覚が強かったのですが、海外公演で、私たちのパワーを超える勢いで楽しんでくださるお客さんに出会って、“ぶつける”というよりも、“一緒に楽しむ”という姿勢に変わったことも大きな変化です。 塩塚さん:私は、「上手に流されていきたい」という気持ちが芽生えたことかな。例えば、ヤフオクで、気になるアイテムを買うかどうか悩んでいる間に、それを誰かに買われてしまうことがあるじゃないですか。そうなったときに私は諦められないタイプで、ほかの場所で同じものを探すんですが、結局見つからなくて落ち込む…ということを繰り返していました(笑)。でも今は、そういった状況に陥っても、「手に入らないということは、今の自分には必要ないことだ」というメッセージだと捉えるられるようになったんです。私にも、こう生きていきたいという願望はあるけれど、この先も思い通りにいかないことがきっとある。そのときに、「そういうことか」と受け入れる。自然や人生……大きな流れに身を任せていきたいと思っています。 オルタナティブロックバンド 羊文学 Vo.Gt.塩塚モエカ、Ba.河西ゆりか、Dr.フクダヒロアからなる、オルタナティブロックバンド。2017年に現在の編成となり、2020年8月に「砂漠のきみへ / Girls」でメジャーデビュー。2022年にリリースしたアルバム「our hope」は、第15回CDショップ大賞2023 大賞<青>を受賞。2023年、TVアニメ『呪術廻戦』の第二期エンディングテーマとなった「more than words」が、大きな話題に。今年3月には、バンドとして初のアジアツアー「羊文学 Hitsujibungaku ASIA TOUR 2024」も全公演ソールドアウトで完走し、7月からはシンガポール、クアラルンプール、マニラ、香港の全4都市をまわる追加公演も決定している。 『【推しの子】』STORY ヒットメーカー“赤坂アカ×横槍メンゴ”の豪華タッグが描く、芸能界の闇を描いたヤングジャンプ連載作品。『アイドル×転生×サスペンス』3つの要素が融合したストーリーが人気を呼んだ。7月3日からTOKYO MXほか全国35局にて待望の第二期が放送中。 撮影/新田君彦(えるマネージメント) ヘア&メイク/kika 取材・文/海渡理恵 構成/福井小夜子