イスラエル高官、トランプ氏の人質解放要求を歓迎 ガザ住民は懸念
Crispian Balmer Nidal al-Mughrabi [エルサレム/カイロ 3日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザの人質についてのトランプ次期米大統領の発言を巡り、イスラエルの政権幹部は歓迎の意向を示す一方、ガザでは情勢悪化への懸念が広がっている。 トランプ氏は2日、来年1月20日の就任式までにパレスチナ自治区ガザで拘束されている人質が解放されなければ、中東で「深刻な結果」がもたらされると警告した。 イスラム組織ハマスは、2023年のイスラエルへの奇襲攻撃で250人以上を人質に取った。一部は解放されたものの、約半数はガザで拘束が続く。少なくとも3分の1は死亡したとみられている。人質解放の交渉は進展していない。 イスラエルのネタニヤフ首相は閣議の冒頭で「トランプ氏は(他国のように)イスラエル政府ではなく、ハマスという正しいところに焦点を置いた」として謝意を示した。 スモトリッチ財務相も「人質を解放するには、理不尽な要求に屈するのではなく、ハマスと支援者への圧力と代償を増やして打ち負かすことだ」と述べた。 サール外相は「トランプ大統領、ありがとう」とXに投稿。人質の家族も謝意を表した。 一方、ハマスの幹部は、イスラエルのネタニヤフ首相が、収監中のパレスチナ人と人質の交換を巡る合意に向けたあらゆる取り組みを妨害してきたとし、「(トランプ氏の)メッセージはまず、この悪しき駆け引きを終わらせるために、ネタニヤフ氏と政権に向けたものと認識している」とロイターに語った。 ガザ住民の1人は、トランプ氏の投稿に衝撃を受けたと明かし「新政権による打開策に期待していたが、トランプ氏はイスラエル政権寄りで、今後さらに厳しい措置が取られそうだ」と述べた。 ガザの政治アナリスト、ラミズ・モガニ氏はトランプ氏の警告がハマスとその後ろ盾となっているイランの双方に向けられたものだと指摘。イスラエルはこれに勇気づけられ、ガザからパレスチナ人を追い出すだけでなく、ヨルダン川西岸の併合も試みる可能性があるとの見方を示した。