『白タク』横行の人気観光地 日本に来る前に「アプリ決済」で摘発も困難 タクシー業界は大打撃
■「正規料金では勝ち目がない」頭を悩ませる観光業界 専門家は「罰則規定が弱い」と指摘
一方で、このような状況に以前から頭を悩ませていたのは、観光業界。 神姫観光 阪田悦規常務取締役:(中国向けに)ワンデーバスツアーを京都でやったりしているが、それも最初売れていたけど、なんか売れなくなって、何でやろうと。スタッフが(中国の)サイトを見ると、『中国語で案内するよ』と、(白タクの)競合商品がいっぱい出てくる。営業ナンバーで正当に日本でやろうとしている会社は、金額的には全く合わない。ずっと続いていることなんで、そこと競合する、商売してる所にはもう立ち入らない。立ち入っても勝ち目がないので。 観光地でのマナーの問題、そして、タクシー業界や旅行業界が受ける打撃。 多くの問題を抱える白タクの現状を変えるすべはないのか、専門家に聞くと… 桜美林大学 戸崎肇教授:(白タクを)見つけたときに厳罰化するというのは、非常に大きな効果があるのでは。今の場合は罰則規定が弱い。いったん白タク現場を押さえたら、それを徹底的にたたいていく。それが一種の抑止効果になるのではないかと思っている。 20日、警察とともに検問を行った近畿運輸局は、「外国人観光客に、日本では白タクは違法だと周知したい」としている。
■白タクの厳罰化が抑止力となるのか
京都・嵐山の現状を取材したが嵐山だけではなく、「白タク」行為の横行は大阪、さらには各観光地で深刻な問題に直面している。現状を見ていく。 そもそも通常のタクシーと、いわゆる「白タク」の違いは、営業許可を得ているタクシーは緑色のナンバープレートを使用している。白タクは営業に必要な許可を受けず、自家用車で人を運んでいる。 許可なく有料で人を運送することは法律で禁止されている。違反すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金などが科されることがある。 そしてアプリ・ホームページで事前に決済をしているので、現地で現金の支払いがなく、そのため摘発が困難とされている。 ただ白タクが保険に加入しているかどうかが分からないため、事故などでトラブルになる可能性も大いにある。 日本でお金の受け渡しが行われないため、摘発が難しい状況のようだ。番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士は白タクの摘発についてこのように話す。 菊地幸夫弁護士:法律で有償というのが禁じる条件になります。だから、お金のやり取りを押さえるのは、極めて重要なポイントだと思います。ただ客の方から、『すでにアプリで決済して、そこでお金は払ってる』とある程度の供述はとれるかもしれません。だから人数をかけて、時間をかけて、摘発することも、できないではないと思いますが、やっぱりハードルがあります。あと罰則が3年以下の懲役、300万円以下の罰金ですが、例えば白タク違反したら免許を取り上げるというのも、1つ考えられるかなと思います。 インバウンド需要が増えていくにしたがい、この問題はより深刻化してくるかもしれない。 関西テレビ 神崎博報道デスク:逆に外国人側の立場から話をすると、例えば海外ではライドシェアという形で、一般のドライバーがタクシーのような輸送をすることが一般的です。ですので中国の人からすると、自分の国では適法で合法的にやっていることだからの何の後ろめたさもなく予約してしまって、いけないことだということ自体を知らない場合もあります。日本がタクシー業界などを守るために白タクは違法にしているのですが、これを認めてしまうと日本のタクシー業界がかなり苦しくなってしまうと思うので、日本では『ダメですよ』と周知した上で、厳罰化や、白川郷で行われているような止まる車すべてに声をかけるぐらいの厳しい取り締まりをすると、抑止にはなると思います。 啓発活動を進めていくのか、さらに規制強化などを厳しくしていくのか。難しい問題だ。 (関西テレビ「newsランナー」2024年6月20日放送)
関西テレビ