EVの正解は「超小型車」だ! そう思わせてくれるKGモーターズのEV試作機が完成。
この上なくコスパに優れたミニマムモビリティ
■ミニマムモビリティの特長 こうして開発が進み、2024年1月31日に試作1台目が完成したのがミニマムモビリティだ。 ミニマムモビリティは、1人乗りのセンターポジションで走る楽しさを追求した小型EVだ。モチーフは80年代のポラロイドカメラだが、前後対称のデザインと相まって、レトロ感と近未来感を両立している愛らしい雰囲気を纏っている。サイズは全長2450×全幅1090×全高1500mmと驚くほど小型で、車重も400kgと軽量であるため、環境性能に優れている。充電はAC100Vの家庭用コンセントに対応し、5時間で満充電となる。これで航続距離が100kmあるので、チョイ乗りに最適な仕様と言えるだろう。 ■コスパに優れた原付ミニカーという規格 ミニマムモビリティは原付ミニカー規格という、第1種原動機付自転車と同じ車両区分扱いとなるため、車検不要・税金も安く、コストパフォーマンスに非常に優れている。また、原付ミニカーでは時速60kmまでを上限としているため、一般公道であれば交通の流れに乗ることができるうえ、コンパクトなボディであるため、狭い道でもスイスイ進むことができる。※原付ミニカーを運転するためには普通自動車免許が必要。 ■価格は100万円以下を予定? ミニマムモビリティはドア・エアコン付きで快適な走行を提供しつつ、ソフトウェアによるOTAアップデートが可能で、自動運転用のデータ収集、エンターテイメント、走行サウンド、パワートレイン等が最適化されていく。また、後述するがコネクティッドによる驚くべき進化プランも計画されている。これだけ至れり尽くせりな仕様で、販売価格は100万円以下を予定しているというのだから、量産化を待ち望む声が多いことも納得するしかない。
ミニマムモビリティ量産後のビジョンもスゴイ!
KGモーターズは2023年10月のシードラウンドで、1.5億円の資金調達に成功している。今回発表された試作1号機をはじめ、今年はモニター車を20台製作し、100人に対してモニター実証実験を開始し、2025年には300台を生産して販売を行う予定だ。さらに、2026年には本格量産をスタートさせ、原価ダウンをしながら世界に視野を拡げるという。 しかし、KGモーターズの目標はここで終わりではなく、さらに先に自動運転にも挑戦しようとしている。現在、実証実験等で走行している自動運転の多くは、バスなどに大勢の人を乗せた“公共交通機関型”が多いが、公共交通機関は一般的には乗車率が不安定で、それでいて決まった地点から決まった地点までの移動となるため、乗車する前後の移動に迂回や時間的にも余剰なコストが発生してしまう。だが、これを一人乗りの超小型EVで自動運転が実現できれば、乗車率や移動ルートに無駄が発生しないことが期待できる。 KGモーターズはさらにモビリティの稼動率を向上させるため、ミニマムモビリティのオーナーに対し、同社のプラットフォームを利用し、自動運転機能が追加されたミニマムモビリティを第三者に貸し出すソリューションも計画中だ。これにより、利用者は任意の場所で乗り捨てが可能となり、モビリティは無人でもオーナーの自宅まで勝手に戻る、いわゆる「完全自動運転ロボタクシー」サービスの提供まで思い描いているというから恐れ入る。 だが、後半の壮大なスケールの物語以前に、ミニマムモビリティ単体が持つ魅力はかなりのものではないだろうか? 短距離に特化したことで、EVの運用として無理がなく、経済的にも環境への配慮も申し分がないように思える。モニター実験への応募数も大幅に枠を超えるものだったことからも、それだけこのモビリティに対してワクワクしている人が多いということだろう。同社の活動はYouTubeチャンネルで確認できるので、気になる人は追ってみるといいだろう。 ■ミニマムモビリティ 諸元 サイズ:全長2450×全幅1090×全高1500mm 定格出力:0.59kW ピーク出力:5kW 最高速度:時速60km 航続距離:100km 充電規格:AC100V 満充電時間:5時間 重量:400kg ソフトウェア:OTA・コネクティッド 車両規格:原付ミニカー 乗車定員:1名 価格:100万円以下を予定
文=KURU KURA編集部