「日本を守る。成長を力に。」がスローガンも「守る」という名の攻めの政策並べる石破自民党
「第50回衆議院議員総選挙」が10月15日公示された。27日の投開票に向け、13日間の短くも熱い戦いが繰り広げられている。 各党、各候補それぞれが肝いりの政策を掲げ選挙選に臨むことになるのだが、今回の選挙は喫緊の政策と将来を見据えた政策、そして政治倫理といったものが複雑に入り混じり、頭を悩ます有権者も多そうだ。 政権与党である自民党は9月27日に投開票された総裁選で石破茂氏が勝利を収め、新総裁に。10月1日に行われた臨時国会で第102代内閣総理大臣に選出された。石破首相は新内閣発足後の会見で衆院を解散し、10月27日投開票の日程で衆院総選挙を行う意向を示すと、9日に党首討論を行った上で衆院を解散した。 自民党は今回の選挙については「日本を守る。成長を力に。」というスローガンを掲げる。選挙公約については「ルールを守る」「暮らしを守る」「国を守り、国民を守る」「未来を守る」「地方を守る」という5つの「守る」と「新たな時代を切り拓く」という6つの柱を立てた。 公約の中でも“石破カラー”と言うにふさわしいのは得意分野である安全保障・外交、そしてかねてから唱えている防災・国土強靭化といったところ。 石破首相は総裁選時から「防災省」設置への強いこだわりを見せた。今年は元旦に石川県で能登半島地震が発生。地形の問題もあり、一向に復興が進まない中、9月には奥能登豪雨で能登は壊滅的な打撃を受けた。
石破氏は5日には石川県を訪れ被災地を視察し、大雨を激甚災害に指定すると表明。また15日には選挙戦の第一声を2011年の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地である福島県いわき市で上げるなど被災地に寄り添う姿勢を見せた。 防災・復興を担う機関としては東日本大震災からの復興を目的として設置された「復興庁」があるのだが、これは永続的なものではなく、文字通り東日本の復興を目的としたもの。異常気象による豪雨や、切迫性が高まっている南海トラフ地震などを考えると、継続的かつ速やかに避難や復興に取り組める「防災省」の設置は喫緊の課題となる。 言葉自体は「守る」ではあるが防災省の新設はまさに攻めの政策といったところだ。 スローガンの中にある「成長を力に」を象徴するのは「地方の振興」。石破首相は総裁選でも地方創生を「日本経済の起爆剤」と位置づけており、今回の政策でも「地方創生2.0」を始動させ、交付金の倍増を目指し、政府には「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設する。これにより「地方へのひとの流れの強化」「地方の仕事づくりとデジタル人材の育成・支援」といった形で地方創生を加速させ、地域の特色を踏まえた地方の自主的・主体的な取り組みを支援するという。 能登の復興が進まない裏には過疎化や住民の高齢化、若い世代の流出という問題が大きいといわれており、成長かつ地方を守るという意味合いも含まれているといえそうだ。