「夢を持て」は逆効果?子どもの“職業観”、保護者世代との違いで意識すべきこと
──具体的には、どんなサポートができるでしょうか? 「いつもと違う人・場所と接する機会をつくること」「保護者のかた自身が、挑戦のプロセスを見せること」の2点を意識してみるとよいのではないでしょうか。 1点目の「いつもと違う人・場所と接する機会をつくること」は、子どもの視野を広げて「自分ってこういう人だよね」という思い込みの壁を破るきっかけになります。いつも、同じ学校の友達や家族と接しているだけだと、考え方も行動も固定化してしまいますよね。 少子化が進み、一つの学校では野球やサッカーのチームをつくれなかったり、学校内に同じ趣味の友人が見つからないといったことが増えています。意識的に違う環境に顔を出さなければ、せっかく何かやりたいことがあっても、「自分は変わっているのだ」と思って手を出しにくくなってしまうかもしれません。 サマーキャンプや、地域のお祭りなどの活動、最近では博物館や科学館、地元の大学などでもさまざまなワークショップが行われているので、これからの夏休みに足を運んでみるのもよいと思います。 ──2点目の「保護者のかた自身が、挑戦のプロセスを見せること」は、なぜ子どもの職業観を高めることにつながるのでしょうか? 「努力を信じられるようになる」可能性を高めるからです。 語学でも筋トレでも何でもいいんです。努力する姿を見せ、たとえ成果が出なくても「こんな学びがあった」と楽しむ姿を見せること。一番身近な保護者のかたのそんな姿で、努力へのイメージはアップデートされるでしょう。 与えられた課題をコツコツがんばる努力は大切ですが、これからもっと大切になるのは、自分自身で工夫し、手ごたえをつかむような努力です。これは、あれこれ言うより「背中で見せる」のが一番だと思います。 「気にはかけるけど、手出しはしない。子どもが自分でできるようにする」「機会を与え、その機会で感じたことや考えたことを一緒に話し合う」。完璧な方法はないのですから、焦らずに無理のない距離感を意識してみるのがよいのではないでしょうか。