パーソナルカラーケアサービス「irop」、「THE [ ] STORE」出店1週間でLINE友だち1000人増 店内のCVRは12%
イロップが展開するパーソナルカラーケアサービス「irop(イロップ)」は今年7月、SUPER STUDIO(スーパースタジオ)が運営するにTHE [ ] STOREへ出店した。リアルな場で顧客に“髪色ケア診断”を体験してもらい、新規顧客の獲得を図った。7日間の出店でLINEの友だち追加と“髪色ケア診断”を体験した顧客は1000人を超えた。「THE [ ] STORE」でのCVRが12%ほどあり、ECサイトの12倍の高い比率で顧客化できたという。 【画像】「irop」の「THE [ ] STORE」出店の様子 イロップは、親会社であるホーユー社が100年以上にわたってヘアカラーを研究してきたノウハウを活かしてカラーシャンプーやトリートメント、ダメージケアシャンプー、トリートメントなどを開発・展開している。 パーソナルカラーケアサービス「irop」のプロジェクトが発足した直後に新型コロナウイルス感染症が流行し、ホームケア市場が拡大した。ヘアカラー後の自宅での髪のケア=アフターカラーケアの提案ができないかと模索していたところ、次にサロンに行くまでの期間のケア市場が空洞化しているという課題が浮かび上がり、それを埋める製品を提案するためにイロップは立ち上がったという。 ホーユーの製品は約99%が店頭販売のため、オンラインのマーケティングに関する知見を深め、新たなビジネスモデルを創出する目的もあり、2023年7月にイロップを設立、2024年4月にブランドとして販売を開始した。 iropは、髪をケアしながら髪色を長持ちさせるカラーチャージアイテム「イロップ タス シリーズ」と、ヘアカラー後の色落ちとダメージを抑制し美しい髪を保つデイリーカラーケアアイテム「イロップ マモル シリーズ」の2つをシリーズで展開している。従来のカラーシャンプーと大きく異なり、ハイトーンではないベーシックな髪色でもしっかり発色することと、カラーバリエーションが豊富なことが特徴。今までカラーシャンプーを使ったことがなかった人や、ヘアカラーの色落ちに悩みがあったという人も広くターゲットとしている。 <新たなビジネスモデル構築の基盤として「ecforce」を選択> サービスを考えていくなかで、多くのお客さまが最適なケアに辿りつけていないことが分かった。髪色や色落ちのお悩みに対して商品を提案し、適切なヘアカラーケアの習慣を始めていただく体験を提供したいという思いから、研究チームとともに独自の診断ロジックで“髪色ケア診断”を開発した。 “髪色ケア診断”を「irop」のサービスの中核とし、この診断ツールを起点として診断結果から購入できる導線を作ることが、販売においてマストな条件だった。CRM施策を行うことも見据えていたため、“髪色ケア診断”をきっかけにLINEの友だち追加してもらうという導線の設計も、ブランド立ち上げ当初から考えてた。 これらをSUPER STUDIOが提供するパーソナライズシステム「ecforce profile」で実現できると知り、統合コマースプラットフォーム「ecforce」の導入を決めた。「ecforce」はSaaSのため、トレンドに合わせた機能が随時アップデートされていくのも魅力的であり、他サービスと比較しても必要な機能がそろっている。つなげたいツール同士が連携できることや導入コスト、その後の運用コストの観点でも負担が少ないと判断した。 “髪色ケア診断”のUXは顧客体験を最重要視する「irop」にとって譲れない点だったが、他のサービスではあまり手を加えられないものが多かった中で、「ecforce」は非常に柔軟性が高かったことも導入の決め手になったという。 <ローンチ3カ月後に「THE [ ] STORE」へ出店> カラーシャンプー自体の認知度が低かったため、製品を使用するきっかけづくりが必要だと考えていた。オフラインというリアルな場で顧客に“髪色ケア診断”を体験してもらうことで、オンラインの販売だけでは出会えなかった顧客との接点を創出し、今後オンライン上でCRMを行った際に顧客自身がカラーシャンプーの対象者で、ケアの方法はさまざまあると知ってもらいたいとも考えていた。これらを実現できるPRの場として、ブランドローンチから3カ月後に「THE [ ] STORE」への出店を決めた。 THE [ ] STOREでは多くの人に“髪色ケア診断”を体験していただくことに重きを置き、LINEの友だち追加数を出店時のKPIに設定しつつ、その上でさまざまな施策や店内での導線設計を実施した。 まず、ブランドを知らない人が多く来店することを前提に、入店ハードルを下げるための施策を準備した。出店時期が7月の暑い時期だったため、無料で冷たいドリンクを配って飲んでいただきながら、店内で“髪色ケア診断”を体験してもらえるように導線を設計した。“髪色ケア診断”を体験した人には、オリジナルトリートメントコームをノベルティとしてプレゼントしたりするなど、気軽に入店しやすい雰囲気作りを目指した。 接客についても、“髪色ケア診断”をフックに工夫した。診断を開始する際には、LINEの友だち追加とInstagramのフォローを促し、診断後には結果の解説、おすすめのアイテムのご紹介、最後にノベルティをお渡しする、という流れを組んだ。診断結果の解説では、実際に毛髪サンプルを見せながら話すことで興味を持ってもらえることが多く、その場での購入にもつながった。 他にも、「THE [ ] STORE」の空間の使い方も意識した。店内に2面ある大きなサイネージで映像を流して「irop」の世界観を表現したり、店内にある什器を組み合わせてサンプルを展示したりなど、「THE [ ] STORE」にあるもの全てを活用して魅力的な空間作りに努めたため、空間全体で接客ができたという実感があるという。多くの顧客が“髪色ケア診断”に興味をもって入店してくれたのが印象的で、なかにはカラーシャンプーを利用しなさそうな方も「irop」に興味をもっていただき、こういう製品があることを知れて良かったという声をもらった。 <「THE [ ] STORE」出店で新たな気付き> 「THE [ ] STORE」の出店で印象的だったことは二つあるという。まず一つ目は、オンラインでそれほど人気のなかったアッシュカラーの製品が「THE [ ] STORE」で一番売れたこと。実際に顧客にヒアリングした際、ヘアサロンなどでアッシュ系のカラーに染めた方の悩みをいくつも伺い、「irop」のシャンプーでカラーキープできることを話すと購入してもらえることが非常に多かった。 “髪色ケア診断”を体験してもらいながら対面で接客した際に、診断結果を少しアレンジしてアッシュカラーの提案をしたところ購入してもらえるケースが多く、“髪色ケア診断”のロジックの調整に採用しようと考えている。 二つ目は、毛髪サンプルの重要性だ。毛髪サンプルは髪色の変化が視覚的に分かりやすいため、購入につながったり共感してもらったりすることが多くあった。それぞれのSKUごとの訴求ストーリーを創ることも重要だと気付いた。「THE [ ] STORE」のスタッフと接客での情報交換をしながら各アイテムの訴求ポイントを見つけ、それを接客トークに取り入れるなど、出店期間中の店頭でPDCAを回した。オフラインで得られた答えをオンラインにも反映させていこうと、今まさにトライしている。 結果的に、出店期間中にLINEの友だち追加と“髪色ケア診断”を体験した顧客は1000人を超え、次回髪を染めた時に「irop」を第一候補にしていただくことにつながったのではないかと感じている。「THE [ ] STORE」でのCVRが12%ほどあったことは大きな収穫だったという。 今回の「THE [ ] STORE」出店で、次のステップにつながるようなアクションを起こせる知見が蓄積できたと感じている。「irop」の魅力を伝えるためには、“髪色ケア診断”を通じたカウンセリングが重要だが、リアルな場でお客さまと会話をしたり、見本を見せたり、動画を見せたりと手法は様々あり、Web上の画面だけではないと気付かされました。 <オンライン主体のブランドだからこそオフラインに答えがある> イロップはD2C企業にとって、THE [ ] STOREでの出店は重要なきっかけになると思うと語る。「THE [ ] STORE」の出店を通じて、どういったコミュニケーションをすれば顧客が購入してくれるのか、どういう購入経路を選択するのかというところを知る良い機会を得られたという。 「オンライン主体のブランドだからこそ、オフラインに答えがある。」今回の出店を通じて実感した。Web上では出会えなかった顧客から得られる情報は、非常に貴重なものだ。オンラインだけでは3カ月、半年かかっても集められないような有益な情報を、1週間足らずの出店で得ることができる。これが「THE [ ] STORE」の魅力の一つだと語る。
日本ネット経済新聞