ステーブルコイン大手テザー、4500万ドル資金提供で中東原油取引に参入
テザー(Tether)社は、同社の投資部門が大手石油会社とコモディティ(商品)トレーダーの間の4500万ドル(約6750億円、1ドル150円換算)の原油取引に資金を提供したと述べた。これは、影響力のあるステーブルコイン・テザー(USDT)を発行する同社がその基盤を超えて拡大しようとする取り組みの一環だ。 テザー社は、10兆ドル(約1500兆円)規模の貿易金融業界内のニッチ分野で地位を築こうとしている。貿易金融は、国境を越えた取引に伴うリスクを軽減することで、国際的な貿易や商業を促進する上で重要な役割を果たしている。テザー社は先月、コモディティ貿易金融への参入計画を明らかにしており、さらにベンチャーキャピタル、ビットコインマイニング、人工知能(AI)分野にも拡大している。 テザー社によると、10月の取引は67万バレルの中東産原油貨物に関するもので、「上場している超大手石油会社」と「一流のコモディティトレーダー」の間で行われた。 パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEOは声明で、「この取引は始まりだ。より幅広いコモディティや産業をサポートすることを目指している」とし、「我々はテザーによって、これまではより遅くコストがかかる支払い構造に依存していた市場に対して効率性とスピードをもたらしている」と述べた。 テザー社の発行するステーブルコイン・テザーは、暗号資産(仮想通貨)取引の基盤的役割を果たしている。取引所においては流動性の一形態として機能しており、新興経済国では支払いや貯蓄の手段としてますます利用されるようになっている。これは非常に収益性の高いビジネスだ。同社は、今年これまでに77億ドル(約1兆1550億円)の純利益を上げたと発表しており、その大部分は800億ドル(約12兆円)規模の米国債保有から得られた利回りによるものだ。同社は事業をステーブルコイン発行から多角化するために利益を使用しており、スタートアップ企業やビットコインマイニング、エネルギー生産、AIに投資している。 先月のウォール・ストリート・ジャーナルの記事では、テザー社が制裁およびマネーロンダリング防止法違反の可能性についてアメリカの刑事捜査の対象となっていると報じられたが、同社はこれを否定している。アルドイノCEOはCoinDeskとのインタビューで、同社はアメリカの制裁を尊重しており、米国債の大口購入者であり続けることに専念していると述べた。 |翻訳・編集:林理南|画像:Sumaid pal Singh Bakshi/Unsplash|原文:Stablecoin Giant Tether Enters Oil Trade by Financing $45M Middle Eastern Crude Deal
CoinDesk Japan 編集部