介護の現場で接する人たち…知っていると役立つ3つの専門職【親を要介護にさせたくない】
【親を要介護にさせたくない】#20 病院で接する専門職の代表格といえば医師と看護師。昔からあるなじみ深い職業なので、高齢の親でもその違いや役割は理解しているはず。では、介護にまつわる専門職についてはどうだろう? 定期的な「歯科受診」が介護のリスクを低下させる?米国老年病学会誌に論文 たとえば、骨折などで回復期リハビリテーション病棟に入ったとしよう。当然のことながら、担当の医師と看護師がいて、入院初日、あるいはその前の相談段階から本人や家族と会っているはず。 ただ、実際にリハビリを行っていくうえで接するのは別の専門職になる。おそらく、入院初日に担当になる人たちが次々に挨拶に来て説明をしてくれるだろうが、高齢者はなかなか覚えきれない。それで困ることはないとしても、家族まで同じだと、いざという時に具体的な相談がしづらい。できればリハビリの様子を見学させてもらいながら、次の3つの専門職の仕事を把握するよう心掛けたい。 ■理学療法士 病気やケガ、加齢などで体の基本的動作がうまく行えない人に対し、体操や電気刺激、マッサージなどでリハビリを担当する。つまり、筋力やバランスの強化、持久力の向上などを訓練し、歩いたり寝返りをうったりなど、生きていくための基本的動作の回復を図るためのスペシャリスト。 ■作業療法士 人の日常生活に関わる、食事をする、トイレを使う、台所で家事をするなど、日常生活に欠かせない作業のリハビリを担当。簡単な手芸や工作などを通し、機能回復を手助けしてくれる。また、精神面にまで踏み込み、その人らしく自立できるようサポートする役割も担っている。 ■言語聴覚士 言語機能や聴覚機能の維持向上を図るための訓練や、検査や援助を行うスペシャリスト。介護分野では口腔の体操や嚥下訓練、認知症による失語症のリハビリなどに力を発揮している。 参考までに、筆者の親が世話になった回復期リハビリテーション病棟では、自宅に戻ることを見据えたリハビリがあり、最初に自宅の写真や見取り図を持ってくるよう求められた。そのうえで玄関や風呂場の段差をどう乗り越えるか、車への乗り降りをどのようにしたら安全かつ確実にできるか。階段の昇降をする際、左右どちらで介助したらいいかなど、家族も一緒に学ぶ機会が何度かあった。これは後にとても役立った。 (西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)