SKE48井上瑠夏さん「なりたい自分にはきっとなれる」被災しても諦めなかった夢 ふるさとへの思いは
名古屋市・栄を拠点に活動するアイドルグループSKE48の井上瑠夏さん(23)は、小学校の卒業式に担任が教え子に贈った言葉を、今も座右の銘にしています。アイドルにあこがれながら、オーディションで何度も悔しい思いをした際、支えてくれたそうです。故郷の熊本を離れて8年、いまは第一線で活躍する井上さんに、思いを聞きました。 【画像】初の写真集を出版 SKE48井上瑠夏さんの軌跡
熊本でソロ写真集を撮影
今年5月、井上さんにとって初めてのソロ写真集の撮影が熊本県で行われました。 世界最大のカルデラがある阿蘇山の北部に広がる高原や滝、有明海に面した天草など、豊かな自然と美しいロケーションが広がります。その中で井上さんがひときわこだわった場所があります。出身地、菊池市泗水町にある母校の小学校でした。 「元々女性アイドルや俳優さんの写真集を見るのが好きで、自宅にたくさんあります。いろいろな写真集を見ていたので、自分もいつか母校で撮影したいと思っていました。今回『行きたい』って言ったらなんと(出版社が)かなえてくださったんです」 実際に井上さんが学んだ教室での撮影時、黒板に井上さんはこんな言葉を書きました。 <なりたい自分にはきっとなれる> 小学校の卒業式の時に担任の先生が、この言葉を色紙に筆で書いてクラス全員に渡してくれたそうです。 「ちょうどアイドルのオーディションに落ちて、やっぱりアイドルになりたいって思い始めた時期に『なりたい自分にはきっとなれる』っていうこの言葉を胸に夢を叶えようと頑張ったので、絶対に(撮影でも黒板に)書きたいと思いました」 井上さんが小学生だった2010年代前半は、AKB48が社会現象になるほどの人気でした。1期生の板野友美さんのファンだった井上さんは、出演番組は欠かさずチェック、AKB48がコラボしたお菓子などをスーパーで買い占めるほど。 自身がアイドルになりたいとは思っていなかったそうですが、テレビの前で振り付けをまねながら歌っている姿をみた母親が2014年、各都道府県から1人ずつ代表メンバーが選ばれるAKB48Team 8 の熊本県オーディションに応募しました。 最終審査まで残りましたが、代表には選ばれませんでした。 その悔しさが、アイドルへの夢を本気にさせます。 中学2年生になった2015年春、今度は第2回AKB48ドラフト会議に応募します。プロ野球のドラフト会議のように、最終候補者をAKB48グループの各グループが指名して、合格が決まるというイベント。最終候補者に残った井上さんは、もし合格したら活動しやすいという理由で福岡が拠点のHKT48を希望しました。 ドラフト会議最終審査当日、東京都内の会場のステージで、井上さんはほかの候補者と指名を待ちました。その様子はCSで全国に生中継されました。 しかし、HKT48 は松岡はなさん(卒業)、村川緋杏さん(現CANDYTUNE)、今村麻莉愛さん(現チームKIVキャプテン)の3人を指名した段階で選択を終了しました。ほかの候補者が次々と指名されるなか、井上さんはほかのグループからも声はかかりませんでした。 まばゆい光と影。13歳の少女にとって、それはあまりに厳しい現実でした。 “私の人生で、一番挫折したとき”。そう井上さんは振り返ります。