明日開幕!伊調を破った川井梨紗子はレスリング世界選手権で東京五輪代表を内定できるのか?
メダルを取れば男女の東京五輪の代表選手が内定するレスリングの世界選手権が、明日14日からカザフスタンの首都ヌルスルタン(旧アスタナ)で開幕する。男子のグレコローマン、フリースタイル、女子フリースタイルの3種目、各10階級(五輪対象は各6階級)が行われるが、注目を集めているのは、女子の五輪5連覇を目指して現役復帰した伊調馨(ALSOK)とのプレーオフを制し代表となった、リオ五輪63kg級金メダリストで、57kg級代表の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)だろう。 川井が出場する女子57kg級は9月18日に始まる。1日目は準決勝まで行われ、決勝は翌19日。日本レスリング協会の東京五輪代表選考基準では「2019年世界選手権大会においてメダルを獲得した者はオリンピック大会派遣選手とする」となっているため、18日に決勝まで進めば川井は五輪代表に内定する。では、川井のメダル獲得の可能性はどうなのか? 川井自身も、もちろん周囲も表彰台に上がって五輪代表に内定するだけでなく、“最低でも最高でも優勝”しか考えていない。2016年のリオ五輪で金メダリストとなって以降、翌年から世界選手権を2連覇(2017年は60kg級、2018年は59kg級)しており、階級を変えても当然、世界チャンピオンになるだけの力があると誰もが口をそろえる。 川井がメダルを獲れないと予想する声はほとんど聞かない。 とはいえ、勝負に絶対はない。62kg級で出場した2018年8月のアジア大会では、日本チームで最も金メダルに近いレスラーと予想されていたが、準決勝でプレブドルジ(モンゴル)にフォール負けして3位に終わった。実力差があっても番狂わせが起きるのが、レスリングの魅力のひとつだが、ここで起きなくてもよいだろうというタイミングで起きた。 しかし、この時、川井はこの敗戦を次へ繋げた。衝撃的な結果だったとはいえ、実力差を反映しないことが多いといわれるフォール負けだったことも幸いしたのかもしれない。もちろん、圧倒的な差がある2選手の組み合わせでもフォールで試合が決まりやすいが、川井の場合は俗に言う「ハマる」という落とし穴にたまたま落ちてしまったようなものだった。だが、その後の世界選手権で川井は「勝ちにこだわって」連覇を果たした。2か月足らずのスパンで世界選手権に出場するという強行スケジュールも、本来のペースを取り戻すのに有効だったようだ。 そして3度にわたって行われた伊調との代表争いは多くの人の記憶に残っているだろう。