国民民主党・経済政策の財源問題①:減税は財政赤字を削減させる?
所得減税で財政赤字はGDP比で1.20%悪化
また玉木代表は、所得減税によって成長率が高まれば、税収が増えることから財政赤字を拡大させない、との主旨の発言をしているようだ。しかしこうしたバラ色のシナリオは、減税や歳出拡大などの巨額の経済対策を正当化するために、過去に何度も主張されてきたが、実現したためしはない。 古くは1980年代のレーガン米政権が、減税で財政収支は改善するとして、大型減税を実施したが(いわゆるラッファー・カーブ)、それがその後の大幅財政赤字、双子の赤字の問題につながり、世界の金融市場を大きく揺るがしてしまった。 政府試算の7.6兆円規模の所得減税(103万円の壁対策)が実施される場合、内閣府の「短期日本経済マクロ計量モデル(2022年版)」による計算では、GDPは1年間で0.27%押し上げられる。他方で、財政収支の名目GDP比で1.20%悪化してしまうのである。1年以上先まで見ても、財政収支は改善しない。 大規模減税で財政再建ができるといった主張は魅力的ではあるが、実際にはそのようなことは起こらない。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英