ちょっとマイナーな「珍車」ばかり! VWの博物館がすごかった 秘密のコレクション 18選
1971年 ESVW I
1970年代初頭、フォルクスワーゲンは米国運輸省(DOT)と協力して安全性の高いクルマ、すなわち「死なないクルマ」の開発に取り組むようになった。自動車メーカーは、高速衝突時に乗員の命を守るためのアイデアを提示するよう求められた。そのアイデアは、いかに高価で見た目が悪くても構わないというもので、いずれは市販モデルに採用されることが前提とされた。 フォルクスワーゲンが1971年に発表したESVW Iと呼ばれるプロトタイプは、衝撃吸収プラスチック製のフロントエンドや保護パッド付きメータークラスターなど、さまざまな革新的技術を搭載している。リアに搭載された1.8Lのフラット4エンジンは、最高出力100psを発生する。
1972年 T2 GT70
自動車業界では一般的に、「GT」というイニシャルは高速かつ高性能なクルマを表すものだ。しかし、フォルクスワーゲンT2(ワーゲンバス)の場合、実験的なガスタービンエンジンが搭載されていることを意味する。 フォルクスワーゲンは量産化の可能性を探るため、米国のウィリアムズ・リサーチ・コーポレーション社の協力を得てこのプロトタイプを製作した。最高出力75psのガスタービンは従来のピストンエンジンよりもコンパクトで、効率性に優れていた。しかし、重量がはるかに重く、生産コストも高かったため、開発はすぐに中止となった。
1973年 ベイシス・トランスポルター
フォルクスワーゲンは、新興国向けの低価格トラックとしてベイシス・トランスポルター(Basis-Transporter)を構想した。そこで、生産コストが安く、基本的な工具だけで修理可能なシンプルな構造が求められた。 ベイシス・トランスポルターでは簡単にボディを付け替えたり、拡張したりすることができるラダーフレーム構造を採用し、同社おなじみの空冷式水平4気筒エンジンを搭載。エンジンは運転席の真下に配置され、トラック後部のスペースを最大限に活用できるようにした。 博物館に展示されているベイシス・トランスポルターはプロトタイプだが、1976年に社内ではEA489と呼ばれる量産モデルが誕生した。一般には「ホーミガ(Hormiga:スペイン語でアリの意)」という愛称で知られ、ドイツのハノーバーでCKD(コンプリート・ノックダウン)キットとして生産されたほか、メキシコのプエブラでも現地市場向けに生産された。生産台数は約6200台。