長尾謙杜の“棒術”は「ユニークで面白い」 『室町無頼』で時代劇の盛り上がり期待「スピンオフもやってほしい」
入江悠監督&春日太一氏がトークショー
俳優の大泉洋が主演を務める映画『室町無頼』(17日公開)が10日よりIMAXにて先行上映がスタートした。この日、都内で行われたトークショーに監督・脚本を務めた入江悠氏と時代劇研究家の春日太一氏が登壇し、本作の見どころを語り合った。 【写真】「大スターすぎる」 歌唱する大泉洋との“2ショット”を披露した同郷俳優の姿 同作は、昨年直木賞を受賞した垣根涼介氏の同名小説が原作の時代劇アクション・エンターテインメント。室町時代の応仁の乱前夜の京(みやこ)を舞台に、己の腕と才覚だけで世を泳ぎ、ひそかに倒幕と世直しの野望を抱く無頼漢で剣の達人、主人公・蓮田兵衛(はすだ・ひょうえ/大泉)と彼のもとに集結した「アウトロー=無頼」たちの闘いを描く。 東映のYouTubeチャンネルでは、春日氏が40分以上もかけて今作の見どころを熱弁する動画もアップされている。しかし、「まだ語り足りないくらい、入江監督すごいです。この人すごいことやっているんですよ! 日本映画の歴史上、相当びっくりするくらいすごいことやっちゃってますよ」と声を大にして激賞した。 入江監督は恐縮しながらも、「時代劇が好きで春日さんの本も読んでいたんですけど、室町時代っていうのが一番大変でしたね。ないんですよ、成功した例が」と舞台設定での苦労があったと明かした。 また、本作の見どころの一つとなる一揆のシーンについても、参考になる作品があまりなかったとして、「どう作るかが本当に難しくて」とスタッフとも議論を重ねたと回想。それでも、完成した映像に春日氏は「全部が初めてに近いものが出てきたんですよ。だから“やりやがったな”って感じですよ」と感心した。 多数のエキストラが参加した一揆など、入江監督は「画面の密度はこだわったところで、隅々まで俳優さんやエキストラさんが芝居をしています」と解説し、「メイクさんも素晴らしくて、貧しい人たちが歯とかがキレイだと(観客が)冷めるよねってことで、ちゃんと歯とかも全員汚してくれて」とスタッフの仕事ぶりに感謝した。 本作では大泉らの殺陣や、なにわ男子・長尾謙杜演じる才蔵の棒術など豪快なアクションや立ち回りも見どころ。入江監督は「いわゆる時代劇に出てくる刀で戦うのって大泉洋さんと堤真一さんくらいで、それ以外は全部違う武器にしているんですよね」と説明した上で、「長尾くんの六尺棒がユニークで面白いところですけど、戦い方は知らないじゃないですか。だからそこを“どう作るの?”みたいな」と殺陣師とも議論を重ねて作り出したという。 最後に、入江監督は「時代劇がどんどん減っているのって、一つの壁があるじゃないですか。それを東映とか大手の映画会社が越えて、『時代劇ってやっぱり面白いよね』ってなってほしい。もっと時代劇を作んないと。長尾くんとか今後、六尺棒使わないですよ。人生に役立たないですよ」と話して会場の笑いを誘うと、春日氏は「これ当たったらスピンオフでね、『才蔵の関東地獄編』とかやってほしい」と今作をきっかけにした時代劇の盛り上がりに期待を寄せた。
ENCOUNT編集部