「禁酒」も場合によっては逆効果?アルコールと健全な関係の築き方
禁酒ブームの到来
今日の社会にはピッパのような女性が多い。かつて自由に飲むことは開放的な行為として捉えられていたけれど、最近は“フェミニスト”や“エンパワメント”という言葉を使って、アルコールは多くのシーンで女性の足を引っ張ると主張する人が増えてきた。 この主張は世間のニーズとも一致している。「禁酒」をキーワードにしたグーグルの検索件数は2022年8月に史上最高を記録して、フェミニスト作家ホリー・ウィタカー氏が設立した禁酒コーチングプラットフォーム『Tempest』は2020年に会員数が400%増加した。そして、アルコールとの関係を変えたい女性をサポートするコミュニティ『The Sober Girl Society』創設者のミリー・グーチは、需要の高まりを受け、ソバーキュリアスなイベントやバーチャルクラブ、大量のデジタルコースの提供で大忙し。 女性の飲酒量がかつてないほど増えている原因の1つは、世界人口の大半を飲酒療法に追いやったパンデミック。 英国政府の調査によると、2021年10月の時点で英国に住む成人の5分の1以上は有害な量のアルコールを摂取していた。これはパンデミックの影響で宅飲みの量が増えたからとされている。嗜癖行動学専門誌『Addictive Behaviors』掲載の論文によると、女性は男性よりも、お酒を使ってパンデミックのストレスに対処する傾向が強かった。 飲酒量の増加と並行して、あるいは飲酒量の増加の直接的な結果として活発になっているのは、飲酒がもたらす害を取り巻く議論。マスコミはアルコールを(本来なら回避可能な)リスクとして扱い、飲酒はメンタルヘルス疾患や皮膚炎の悪化、慢性疾患のリスク上昇、受胎能力の低下をもたらすと報じている。 ハリウッドではアルコールと不健全な関係にある人が取り沙汰される傾向にあり、『AND JUST LIKE THAT…/セックス・アンド・ザ・シティ新章』でアルコール依存症に苦しむミランダや、クリッシー・テイゲンの禁酒宣言が話題になった。こういうニュースを見ていると、アルコールと健全な関係を築くなんてごく普通の女性には不可能な気がしてくるけれど、実際はどうなのだろう。