マクドナルド最悪のピンチから「驚異のV字回復」 間もなく退任のカサノバ氏が率いた数年の軌跡
カサノバ氏は、日本マクドナルドの初の外国人の社長であり、アウェー感は強かったのではないかと思う。 外国人の経営者は、経営が順調にいっている間はよいが、業績が悪化したり、不祥事が起きたりすると、バッシングを受けやすい。日本人の経営者よりも役員報酬が高いため、妬まれやすいし、「日本人の気持ちがわかっていない」「日本のビジネス慣行が理解できていない」といった批判も受けやすい。 日産元会長・最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン氏が逮捕された際に受けた激しい批判を思い出してみていただきたい。
欧米人からすると、「安直に謝罪すると法的に不利になる」「謝罪の理由と対象が明確でない謝罪はする必要はない」というのは一般的な感覚かもしれない。しかし、日本でこれをやってしまうと、「責任逃れをしている」「反省をしていない」という批判を浴びてしまう。 当時のカサノバ氏も、まさにそのように捉えられており、「だから外国人経営者はダメなんだ」といった言われ方をされていた。 ■いかに業績とイメージの回復を成し遂げたか?
一連の不祥事の直後、日本マクドナルド社の業績は一時的に低迷したが、短期でV字回復を果たすことになる。 2017年12月期中間(1~6月)決算では、営業利益94億円(前期は4700万円)、純利益107億円(同1.5億円の赤字)という大幅な増益を達成。以後、同社の業績は好調に推移することになる。 同社は2015年4月より、顧客が意見や感想を寄せることができるスマホアプリ「KODO」を導入、顧客の声を集めて店舗環境の改善に努めた。
その後、店舗デザインを刷新したり、商品の受け渡しシステムを変更したり、メニューを改善したり、コーヒーをリニューアルしたりと、さまざまな改革が連続的に打ち出された。一連の改革は、一般顧客の目からも容易にわかるような大胆で目立ったものだった。 広告・キャンペーンにおいても、顧客から名前を募集する「名前募集バーガー」や、人気のハンバーガーを投票で決める「マクドナルド総選挙」など、顧客参加型の企画を相次いで打ち出した。