マクドナルド最悪のピンチから「驚異のV字回復」 間もなく退任のカサノバ氏が率いた数年の軌跡
■マクドナルドに学ぶ「ピンチをチャンスに変える」秘訣 不祥事をきっかけに、全方位的な改革を行うことで、レピュテーション(評判)と業績の早期回復と向上を実現することができた。2014年~2015年にわたる一連の不祥事がなければ、マクドナルドはここまで業績を伸ばすことはできなかったのではないかと思われる。 そういう意味では、カサノバ氏指揮下の日本マクドナルド社は「ピンチをチャンスに変えた」好事例と言えるだろう
もちろん、この改革はカサノバ氏ひとりの力でなしえたものとは思えない。社内外の多くのブレインが関わり、一丸となって改革を進めたことで可能になったものに違いない。ただ、経営者にとって、第三者の意見を取り入れて、自らを変えていくことは、そう容易なことではない。だからこそ、多くの企業は不祥事が起きた後、業績が低迷を続けたり、経営者が退任を余儀なくされたりするのだ。 マクドナルドは、改革の過程においても、数多くの批判にさらされ続けていた。顧客の声を聞いたり、顧客参加型の施策を行ったりすること、一時的にネガティブな声が増幅されてしまった側面もあった。しかし、それを続けることで、最終的に批判の声は減っていった。
批判はされないに越したことはないが、ブランド価値が毀損された企業が信頼回復を達成するうえで、批判は避けては通れないいばらの道でもある。 近年、マクドナルドは、カフェメニューを充実させたり、モバイルオーダー、セルフオーダーシステムを充実させたりといった、価格以外の付加価値も強化し、多様な顧客を取り込んでいる。筆者自身、マクドナルドは以前と比べて利用しやすくなったと感じている。 店舗のデザイン性や空間の快適さも増していると感じ、食事以外で利用する機会も多くなった。店舗によってはピーク時の混雑が激しく、待ち時間が長くなっている気もするが、集客が好調であることの裏返しとして、やむをえないことと思っている。