メキシコのコンゴウインコを絶滅から救え! 毎年全体の1割100羽が悪質な密猟の犠牲に…
新たな絆
しかし、NEMのやり方には欠点もあると、ウィリアムズ氏は指摘する。コンゴウインコ類はとても社会的な鳥で、知識を世代から世代へと伝えることができる。ひなを親鳥から引き離してしまうと、そのサイクルが中断される。 子どもを奪われることが親鳥にとってトラウマになることはノリエガ氏も認めているが、ひなを救うにはほかに方法がないと話す。また、ひなを失っても親鳥が落胆した様子はなく、すぐに立ち直っているように見えるという。繁殖期が始まったばかりであれば、その後すぐに新しい卵を産むこともある。 保護されたひなは、チャフル生物ステーションで飼育されたほかの個体と交流し、慣れ親しんだ場所によく戻ってくるという。 「若鳥は、より経験を積んだ個体の後をついて回り、生存に必要なアドバイスを受け、少しずつ長い距離を飛べるよう励まされています」とノリエガ氏は言う。 「血のつながった親子関係は断たれてしまったかもしれませんが、自然環境のなかで、同じ仲間とともにうまく生きていくことでしょう」
文=Júlia Dias Carneiro/訳=荒井ハンナ