メキシコのコンゴウインコを絶滅から救え! 毎年全体の1割100羽が悪質な密猟の犠牲に…
格好の標的
野生で50年生きることもあるコンゴウインコは、一夫一婦制で、森の中で最も背が高く、最も古い木の大きなうろに巣を作る。この巣が残っていて、手付かずの状態である限り、コンゴウインコの夫婦は何年もこれを使い続ける。 しかし、この習性が実は密猟者に隙を与えてしまっている。彼らは目を付けた木に木製のはしごなどを設置し、ひなが生まれてはやってきて、2~3羽まとめて盗んでいく。 「私たちの目的は、密猟者と直接対決することではありません。ほとんどの場合、彼らは武装していますから。それよりも、どちらが先に巣にたどり着けるかという競争なのです」とノリエガ氏は言う。 土地の所有者とNEMの監視スタッフは、巣がある場所を記録し、中にひながいれば報告する。過去に巣が荒らされたことがあったり、密猟者の道具が設置されていたりして密猟のリスクが高いと思われれば、ひなを保護する。 こうして毎年数十羽のひなが保護され、生物ステーションで育てられている。生後90日ほど経って巣立ちが近くなると、足輪とマイクロチップを取り付けて追跡できるようにしてから野生に帰す。
理想と現実
ひなを保護して群れの高齢化を防ぎ、若返りが自分たちで自然にできるよう助けるNEMのプログラムは賢いやり方だと、メキシコ国立自治大学生物学研究所の研究者で保護活動家のパトリシア・エスカランテ氏は言う。 ひなは自分の親に育てられるのが理想だが、必ずしもそれが現実的であるとは限らない。「そこがジレンマです。実の両親が最高の親であることには違いありませんが、それでは密猟を監視できません」。エスカランテ氏は、50年前にコンゴウインコが姿を消したベラクルス州ロスタクストラス生物圏保護区に、飼育された個体を再導入するプログラムを2014年に立ち上げた。 2014~2018年の間に、プログラムを通して200羽のコンゴウインコが放鳥され、そのうち75%が生存した。再導入された鳥たちは新たな群れを形成し、2018年以降は野生で繁殖を始め、毎年のように10羽以上のひなが生まれているという。