「戦車に“橋”載ってる!!」 今後も見られる? いまやタイヤの時代だが
いつまでも74式戦車ベースの戦車橋ではダメだ
戦後の日本では61式戦車ベースの67式戦車橋、74式戦車ベースの91式戦車橋が作られました。67式の生産数は4両と少数でしたが、最大通過重量は40tと74式戦車でも通過できたので、第7師団などでは91式と交代するまで重宝されました。 67式は、車体の上に折り畳まれた橋梁を展開するシザーズ式で、構造は比較的簡単でしたが、展開するには橋梁を垂直に立てねばならず、非常に目立つのが欠点でした。 西ドイツでは67式の試作中、カンチレバー式の戦車橋「ビーバー」が発表されていました。これは2つに分かれた橋梁を上下に重ねて搭載し、接続時は車体上部で滑らせながら1本にして、前方移動で対岸へ渡すというものです。 カンチレバー式はシザーズ式より構造は複雑ですが、目立ちにくいのが利点で、91式ではこの方式が採用されています。 91式は制式年度を見ると90式戦車よりも遅いことになりますが、最大通過重量は60tで90式でも通過できます。そのため90式や10式戦車ベースの戦車橋は開発されていません。74式戦車は退役しましたが、その派生型はまだ現役となりそうです。 また近年は機甲戦力の装輪車化も進んでおり、装輪式戦車橋のニーズも生まれています。装輪戦闘車は戦車より軽いのですが、機動性が違うので、履帯式の戦車橋と行動するのは無理があります。 ドイツではボクサー装甲車ベースの戦車橋がメーカーから提案されています。日本でも防衛装備庁が16式機動戦闘車を念頭に、「機動展開能力と持続性・強靱性を確保する将来軽量橋梁技術」に取り組んでおり、橋梁の軽量化とともに攻撃橋らしく耐弾性の検証も行われています。 日本の機甲戦力の多くは装輪車の16式が担うようになっています。現用の91式では対応できないことは明らかであり、装輪車台の攻撃橋(戦車橋)が必要なことは間違いありません。
月刊PANZER編集部