20年間「介護老人保健施設に勤めた医師」が衝撃を受けた、妻を看取った夫の「忘れられない一言」
自分ができることを自分の納得する形で
人は必ず死にます。わたしは、死はもちろん本人のものですが、残された家族のものでもあると思っています。後悔のない死はありません。 誰もが「あの時、こうすればよかった」「もっとあんなことをしてあげればよかった」と大なり小なり思います。それでも、林さんのように、「100点満点やったなあ」と言うことができれば、残された家族の後悔や悲しみは和らぐでしょう。 なにも林さんのように、全力で介護をやれと言っているわけではありません。在宅であろうと施設に預けようと、自分ができることを自分の納得する形でやればいいと思います。 林さんだって、本当はもう少し在宅介護できたはずだという人もいるでしょうし、そこまで熱意があるなら在宅介護すべきだったと感じる人もいるでしょう。 でも他人がどう言うかは関係ないのです。ほかの人が自宅で介護しているからといって自分も同じように在宅介護をする必要なんてありません。施設に預けたまま、一度も会いに行かなくても、それが自分で「これが自分にとって100点の介護だ」と思えるなら、その介護は良い介護なのです。 何度も言いますが、介護に正解はありません。あなたが出した答えが常に正解です。そして、「これが正解だ」と思えるように、わたしたち医療スタッフ、介護スタッフ、ケアマネージャーは経験をもとにアドバイスします。ぜひそのアドバイスをうまく利用してください。そしてこの本も、皆さんが何らかの答えを出す時に、少しでも助けになれば幸いです。 …つづく田口真子氏の連載「介護施設の医師が断言「在宅介護」と「施設介護」どっちがベストか? ついにその答えがわかった…!」はこちらからどうぞ。
田口 真子