水道管の老朽化『都会から進む』ワケ 電気代は10年で3割UP...でも値上げしにくい『水道代』エコな"節水"が深刻な影響...どうする?「広域化」「運搬給水」も
一方、水道料金の値上げは簡単ではありません。水道法第1条に「豊富低廉な水の供給を図る」とあり、自治体が努力を重ねて水を安く提供してきた背景があるからです。ここ30年、水道料金はほとんど変わっていません。
また、水道料金を上げるには議会の承認が必要で、議会の承認を得るには市民の賛同が必要。そして、政治家は市民の賛同が得られない政策を実行したくない。つまり、市民が「将来のために水道料金を上げてもいいよ」と言えるかが問題なのです。
宝塚市で19%増…関西でも値上げ始まる 人口少ないエリアでは2倍に!?
月々の水道料金の全国平均(家庭用10立方メートル)は、2000年で1450円、2021年で1570円。この間に物価は上がっていて、資源エネルギー庁によると電気代はここ10年で約3割上昇しています。しかし水道料金だけは上がっていません。
ただ、関西でも値上げを決めた地域もあります。神戸市で14.2%、岸和田市で18.9%、宝塚市で19%値上げされました。宝塚市の場合、高低差があって山間にも人が住んでいるという地理的条件があり、もともとコストが高く、5年連続で赤字を記録したため値上げに踏み切りました。
この値上げの動きは今後、全国に広がっていくのでしょうか。水道事業に詳しい近畿大学の浦上拓也教授によると、「自治体にもよるが、水道料金が倍以上になる場所も出てくる」とのことで、人口が少なく税収も少ない地域で値上げの可能性が出てきそうです。 人口減少に加え、シャワーヘッドや洗濯機といった節水機器の普及によって水の需要が減ったことも、値上げの背景にあるようです。
「子や孫世代に何ができるのか?」先を見据えた議論を
水道管の老朽化に対して、様々な対策が考えられています。例えば、複数の市町村が枠を越えて統合する「広域化」です。経営状況が異なる自治体が協力できるかという問題もありますが、広域化を進める必要があると浦上拓也教授は言います。 また、過疎化・高齢化が進んでいる集落では、多額のお金を投資して新たに水道管を更新するのではなく、給水車が貯水タンクに水を届ける「運搬給水」という方法も考えられています。
浦上拓也教授は「子どもや孫たちの世代に何ができるのか?」という問いを強調しています。水道料金の値上げは嫌だけれども、値上げの先を見据えるべきなのかもしれません。 ただ、水道料金の値上げが唯一の解決策なのでしょうか?無駄な税金はないのでしょうか?ここにも目を光らせる必要があります。 (2024年5月24日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)