トリドールが中国で出店攻勢 デフレの波にコスパで勝負【WBS】
デフレなどの影響で消費が低迷している中国でいま丸亀製麺などを展開する外食大手のトリドールが出店攻勢を強めています。中国での事業を加速させる背景を取材しました。 上海中心部のショッピングモールに1日、「肉のヤマ牛」がオープンしました。トリドールが7年前に始めた丼の店で、日本では24店舗を展開しています。看板商品は、牛カルビ焼肉です。 「肉が分厚くて、非常に食べ応えがあります。炭火で焼いていることで非常に香りがいいです」(上海支局の菅野陽平記者) 肉は塊で仕入れてスライス。均一に熱を通すためにコンロで焼き、さらに炭火であぶって香りづけをするこだわりぶりです。厨房はガラス張りで、客に視覚で訴えます。 「切りたての肉のライブ感で、客に訴求することができる。リーズナブルにいいものが食べられるという訴求力は圧倒的に強いだろうという作戦」(「トリドールHD」の杉山孝史副社長) この焼肉丼、日本での価格は690円ですが、中国では28元(約570円)と日本よりも安く設定しました。その背景にあるのが中国で進むデフレです。 副社長の杉山さんが中国のビジネスパートナーと向かったのは、平日のランチ時間にサラリーマンで賑わう飲食モール。多くのメニューは20元台からのリーズナブルな価格で提供されています。消費が冷え込む中、デフレの波が飲食業にも波及し、コスパが大きな鍵になっているのです。 2028年3月までに海外の店舗数を現在の3倍以上に増やすことを目指すトリドール。中国を重要なマーケットの一つとして位置づけ、今回オープンした店以外にも、今年春に値ごろな価格帯のラーメン店を進出させるなど攻勢を強めています。 「日本の丸亀製麺もそうだったが、景気がしんどい、消費心理が冷えるとコスト意識が高くなる。そこで培った不況の中で生き抜く業態というものをどうやったら展開できるかというノウハウは中国でも生かせると思う。今まさに拡大するチャンスなのかなと捉えている(杉山副社長) ※ワールドビジネスサテライト