18歳の山田杏奈が「五億円のじんせい」で見せるもの
一度見ると、強烈に印象に残る人がいる。18歳の女優、山田杏奈もそんな一人で、まっすぐに誰かを、何かを、見つめるときの目が印象的だ。公開中の映画「五億円のじんせい」(文晟豪監督)でも、まなざしの強さはもとより確かな存在感を醸し出している。「最近、“目力あるね”と言っていただくことが増えてきたのですが、自分自身では意識したことはなくて」と照れるように話す山田だが、演技への思いを聞くことで印象の強さの源泉を探ってみたい。 【写真特集】山田杏奈いつも役に寄り添っていたい
普通の外見ならでは、できることがあるのでは
「中学3年生の頃、CMをやらせていただいたときに初めてスタッフの方から『目力あるね』と言われて。目力ってなんだろうって、そのときはよくわからなかったのですが、他の人と比べてそういう魅力があると言っていただけるのはすごく嬉しいです」 たとえば昨年公開された初主演映画「ミスミソウ」の春花役は、いじめの末に愛する家族までも失った絶望と復讐がないまぜになった目の表情のインパクトが強烈だった。 「春花の場合は復讐するときの意志や言葉が本人も意識していないところで出ているほうが魅力的な子になるなと思ったので、怒りをあらわにするよりサイボーグ的というか、淡々と復讐していくことを心がけました。容姿的には、私って目がそこまでパッチリしているわけでもないのですが、普通の外見ならではの、できることがあるんじゃないかなって」 たしかに印象の強さは、ルックスというより、芝居が醸し出しているように感じられる。
テレビドラマでも確実に残す存在感
前クールのドラマ「ストロベリーナイト・サーガ」では第4話に女子高生役で出演、二階堂ふみ演じる姫川玲子との取調室での緊迫感あふれる心理的な攻防が印象に残った。他にもドラマ「セトウツミ」では余命宣告された車いすの少女役など、ピンポイントのゲスト出演でも確実に存在感を残している。 「『セトウツミ』にしても『ストロベリーナイト・サーガ』にしても、普通の子の世界からすればあまりない境遇や状況にある子ですが、どこを表現していったら面白いのか、普通から一歩はずれているのはなんでだろうとか、そういうところからアプローチしていきます。普通の役は普通の役として難しくて、普通ってなんだろうなと考えます。その役ごとに特徴とか、この役だからこそこういう表現ができるな、という部分がありますので、いつも楽しみながらやっています」 役作りに詰まったときは、どのように解決しているのだろうか。 「なぜこの行動が理解できないんだろうってところから考えて、なぜこの人はいろんな選択肢のなかからこれを選ぶんだろうって。わからないってことはひとつのヒントだと思うので、なんでわかんないだろうって考えます。役の一番の理解者でいないといけないと思うし、『そうだよね』っていつも役に寄り添っていないといけないと思うんです。自分の意見もどんどん役に近づけられるように、いろいろな解釈をして役につなげていけるように意識して考えて、なんとか解釈しています」