18歳の山田杏奈が「五億円のじんせい」で見せるもの
役を過ごす時間は第2の人生を生きる時間
映画「五億円のじんせい」では、幼少期に5億円の募金で命を救われた少年、高月望来(望月歩)が、かつて小児病棟で慕っていたお姉さん、橘明日香を演じている。前述の「ミスミソウ」とは一転、少年を見つめるまなざしが包み込むようにやさしい。目力には、強さだけではなく、ひたすらやわらかな目力もあるのだということが、山田の作品を追うとわかる。演技について真摯に話す山田だが、意外なことに芝居に興味があって芸能界を目指してきたわけではない、と明かす。 「15歳の頃、賞品のゲーム機が欲しくて応募したオーディションで受かって、そのまま事務所に所属しました。レッスンを受けながら現場でお仕事としてお芝居をやらせてもらう機会が増え始めてから、役者はすごく魅力的で、こんなに面白い仕事はないなと思いました。自分の人生だけじゃ絶対に生きられない誰かの人生を生きられる。普段生きていて私じゃ絶対経験のできないことを、役の立場になって思い切りできる。その役を過ごしている時間は、第2の人生をのぞいているような、生きているような気になりますし、すごくそれが魅力で、やめられないなって思います」
紙の本が好き どこかに残っているという安心感
では少女の頃は、どんな少女だったのだろう。 「本が好きでした。当時はミステリーが好きで赤川次郎さんはほとんど読み、湊かなえさんと東野圭吾さん、安部公房さんも好きでした。母がすごく本を読む人で、毎週図書館に連れていってもらって、借りられる上限まで借りて、それを繰り返していました。一つのことに没頭するのが好きで、こっちをやり始めたらこっちに一直線になってしまうので、実家にいた頃は前にやっていたものを片付けないで次のことをやってしまい、母によく怒られました」 いまも、古本屋を見かけると入ってしまうという。 「電子書籍は読みません。紙をめくるのが好きなんです。字が並んでいるのとか。手元にあるものを読むという感覚が好きです。どうしても写真とかは携帯に入れて終わりにしちゃうのですが、いつ消えるかわからないじゃないですか。そういう時代なんだとは思いつつも、やっぱり不安で。紙の本は、どこかに残っているという安心感があるんですよね」