【陸上】ナゼ高校生が19年ぶり日本新?「伸びしろの女王」久保凛にかつての“天才少女”増田明美も太鼓判
陸上・女子800mで日本史上初となる2分切りを達成し、1分59秒93の日本新記録をマークした久保凛選手。19年ぶりとなる日本記録をなぜ16歳の高校生が出せたのか、スポーツジャーナリストの増田明美さんにうかがいました。 笑顔を見せる久保凛選手
増田さんは、久保選手と同じ高校生の時に、3000m、5000m、10000m、10キロ、20キロ、30キロ、マラソンと、ほとんどの長距離種目で、次々と日本記録を樹立。そんなかつての“天才少女”も、久保選手の走りには驚きを隠せません。 「普通は記録を出すときは、人を風よけにしたり、力を温存する。最初から風を切って先頭で走って日本記録。それが素晴らしいですね」と、“単独走”での新記録に感嘆。 増田さんは、6月末におこなわれた日本選手権のレースを、男子800mの元日本記録保持者で、現在は指導者の横田真人さんと一緒に観戦していたといいます。そのなかで2人が驚いたというのが、“頭が揺れない”久保選手のフォーム。 「普通、頭が揺れなくて安定した走りをする人はピッチ走法。久保選手は頭が揺れていないのにストライド走法。走りがダイナミックなのに頭が揺れないのはすごい」と久保選手の走りを絶賛しました。 「久保選手の走りがあまりに素晴らしいから、監督にお電話で聞いたんですよ」と、久保選手を指導する、東大阪大学敬愛高校の野口雅嗣監督に、取材をしたという増田さん。 「野口監督が言っていたのは、『彼女は中学生の時は(頭が)揺れていたんですよ。でも体幹トレーニングを敬愛高校に入ってからすごくやった。それで(頭が)揺れなくなった』」 実は久保選手、毎日欠かさず、5種類の腹筋トレーニングを合計260回実施。さらに、背筋や腕立て伏せ、シャフトトレーニングなどもあわせ、1日にトータル460回の体幹トレーニングをおこなっています。 増田さんは、「本来のストライド走法に、体幹がしっかりしたから安定感が備わった」と分析。さらに、小学校6年間やっていたサッカーも、走りにいきているといいます。 久保選手の走りの特徴は、伸びのある大きなストライド。 「サッカーの練習はあらゆる動きに対応するから土台がしっかりするんだと思います。股関節周りの動き、可動域が広がりますよね」と話し、股関節の可動域をいかし、苦しくなる後半でも、この大きなストライドをキープすることができるといいます。 「ラストスパートもききますし、スピードの切り替えもできますし、最初から主導権を握って、横綱相撲ができる。伸びしろの女王ですね」と久保選手の走りに太鼓判を押しました。 この1年で、約6秒も自己ベストを縮めた久保選手について、「勝つ選手、若い選手って壁を作らない。日本記録を作りましたけど、久保さんのなかでも“自分が2分の壁を破る”っていう力みがないでしょ。そういう選手が強い」とコメントした増田さん。 改めて久保選手への期待感をうかがうと、「4年後のロサンゼルス五輪では、さらに800mで強くなった久保さんを見たい。その次の五輪では、1500m、5000m、10000mと距離を伸ばしてくると思う。スピードを武器に将来、マラソンに来てくれたら…」と語りました。 (7月20日放送の日本テレビ『Going! Sports&News』を再構成)
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