坂本花織からのプレゼントに大興奮? GPファイナル初優勝の25歳アンバー・グレン「人生って何が起こるかわからない」
GPファイナル女王アンバー・グレン(アメリカ) インタビュー 前編(全2回) フランス・グルノーブルで開催されたフィギュアスケートのGPファイナル(12月5~8日)で、初出場にして初優勝を遂げたアメリカのアンバー・グレン。今シーズンは、25歳にしてトリプルアクセルを武器に、国際大会で快進撃を続けている。武器となるトリプルアクセルや日本選手への思いを、単独インタビューで語った。 【写真】坂本花織、千葉百音、青木祐奈が表彰台独占でジャンプ!2024NHK杯フォトギャラリー 【初のGP優勝に現実感がない】 ーーGPファイナル優勝おめでとうございます。 アンバー・グレン(以下同) まだ現実感がないです。優勝した後は、アイスダンスや男子の応援をしていましたし、自分の周りに起きている状況を整理できていません。 ーーシニアに上がってから10年目となる今シーズン、ロンバルディア杯で国際大会初優勝。そこからGPシリーズのフランス杯、中国杯、GPファイナルと優勝し、大躍進のシーズンとなっています。 そうなんです。13歳から国際大会に出場してきましたが、今25歳です。長い経験を積んで国際大会初優勝にたどり着いたのは、とても意味のあることでした。ずっと金メダルに憧れてきました。でも初優勝のロンバルディア杯はトロフィーだったんです(笑)。 ーー今シーズンの強さの武器になっているのが、トリプルアクセルです。ショートプログラムとフリーで入れていて、今シーズン4戦の8本のうち、6本を成功させています。 トリプルアクセルはプログラムの1本目のジャンプなので、気持ちさえしっかりしていれば、それほど難しくはありません。本番はアドレナリンが出ているので、精神的にも身体的にも、自信を持って跳べる状態にできています。今の私にとっては簡単なジャンプと言えますが、ここにたどり着くまでは本当に長い時間がかかりました。
【トリプルアクセルが最大の武器になるまで】 ーートリプルアクセルを習得するまでのことを教えてください。 私は、もともとジャンプは得意なほうでした。でもダブルアクセルはとても苦労して、2回転からダブルアクセルまで2年半かかったんです。とても苦労したからこそ、結果的にアクセルジャンプそのものが得意で、自分にとってこだわりのあるジャンプになりました。その後、パンデミックが起きて隔離生活になった時、自分のスケートを見つめ直す時間があり、何を成し遂げたいのか考え、そのうちのひとつがトリプルアクセルだったんです。 ーーどうやって練習を始めたのでしょう? コロナ禍ですべてのスケートリンクが閉鎖されていたので、陸上でたくさんジャンプの練習をしたんです。1日に1時間半のトレーニングを2回。もっと大きく、高く跳ぼうと、たくさん跳び続けました。それからリンクが開いたので氷上で練習したら、ほんの2~3カ月で成功しました。2020年7月のことです。そこから試合で成功させるまでには、とても時間がかかりました。 ーー試合での初成功はいつでしょう? 2023年のスケートアメリカです。3回転ルッツの初成功が11歳で、トリプルアクセルの初成功が23歳。信じれれませんよね。長い間、挑戦し続けることで、人生って何が起こるかわからないということ。夢を達成できて本当にうれしかったです。試合での初成功以降は、それほど怖くなく、安定して跳べています。 ーーアンバーさんのトリプルアクセルはとても高さがあり、質の高いものです。 いつも大きく跳ぶことを心がけています。参考にしたのは、エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)のトリプルアクセルです。正確な滞空時間を割り出したところ、彼女は0.64秒でした。私のダブルアクセルの滞空時間は0.62秒だったので、オフアイスでのジャンプトレーニングで筋力をつけることに集中しました。その結果、高さとパワーのあるトリプルアクセルにつながったと思います。