華やかに変貌したもと同級生のブログは「うそばっかり」。食い違ういじめ事件の結末
10代の78%が「友人に悩みを相談できる」
今どきの若者は、学校で出会った友人をどれくらい信頼しているのだろうか。 令和5年3月発表の、15歳~39歳を対象にした内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査」で、学校で出会った友人に“何でも悩みを相談できる人がいる”と答えたのは女性66.0%、男性56.5%である。 年齢が低いほどその傾向は強く見られ、15歳~19歳では78.3%だが、35歳~39歳になると49.2%になる。一方、「そう思わない」と答えたのは、10代の約2割に対し、35歳~39歳では50.2%と倍以上だ。 また“他の人には言えない本音を話せることがある”に「Yes」と答えたのは、女性は約7割、男性は6割強。こちらも若い人ほど高く、15歳~19歳では78.0%、35歳~39歳が55.5%となっている。 若さはたやすく人を信頼させ、歳や経験を重ねるごとに疑り深くなっていくのだろうか。 【漫画を読む】もと同級生のブログの中身は「うそばっかり」。青ざめる彼女が語る真実 漫画『怖いトモダチ』(岡部えつ 原作・やまもとりえ 漫画 / KADOKAWA)もまた、10代で出会った学校の友人について描いている。 友人とは、「みんなで幸せになろう」を合言葉にオンラインサロンを主宰している、人気エッセイストの中井ルミンのことである。 本書は、ルミンの熱烈なファンでもあるサロンのメンバー、ルミンやメンバーから糾弾されサロンから追放された女性、ルミン自身が語るブログなど、ルミンをめぐるさまざまな人の思惑と言い分が交錯する形で進んでいく。 短期連載6回目となる今回は、ルミンの学生時代の同級生の視点で語られる。
ふたりの記憶が異なるワケは
現在のルミンは主婦を中心に大人気で、ポジティブな文章で「読む薬」と話題の、テレビでももてはやされる存在だ。 そのルミンをテレビを通して見つめる女性は、ルミンが同級生だった「森葵」であることに気づく。けれども女性の顔には嬉しさも懐かしさも表れない。ふたりは世の多くの10代のように、悩みを相談し合える関係ではなかったのだろうか。それとも大人になって変わったのか。 ルミンの名を検索する女性は、ブログ「ルミンの小部屋」を見つける。そしてそこに書かれた「酪農家の娘 Sちゃん」の話を読み、顔色を変える。 第1話から繰り返し語られてきた、ルミンが解決したとされる学生時代のいじめ事件のことだ。 酪農家の父を持つSちゃんの自宅にクラスメイトたちが社会科見学でやってきた日、ひとりが「牛の糞臭い」と言い出したことから、男子生徒たちがSちゃんをからかい始める。Sちゃんはそれから「クサヨ」「牛糞香水使うな」などといじめられるようになり、学校に来られなくなった。 ブログでは、ルミンが「Sちゃんのいいところを手紙に書いて送ろう」と提案したことで、解決したとあった。 だがクラスメイトだった彼女の記憶は異なる。 ルミンの言うことはうそ。事件は解決などしておらず、Sちゃんは学校に戻ってなどおらず、自殺未遂を起こしていた。 ファンや熱烈な支持者たちが語る、優しさと知性に溢れるルミン。 一方、前回紹介した「中井ルミンやあの団体とは二度と関わりたくない」と心を閉ざす女性や、ブログにあるSちゃんのいじめ事件を「うそばっかり」と言う同級生の女性。 本当のことを言っているのはどっちなのか。 漫画の試し読みでご判断いただきたい。 ◇友人をそそのかし、騒がしくも幼い男子を煽り、先生を欺いて、級友を追い詰めたルミン。キラリを追い出したのと同じように、沙世のことも学校から追い出してしまった。 だがなんのために? ルミンの目的はまだわからないが、ルミンがブログで書いた「手紙を渡した翌日、Sちゃんは学校に来た」という事実はなかった。ルミンは大嘘つきな悪魔なのだろうか。 第7話に続く。 ---------- 人気エッセイスト 中川ルミン主宰のオンラインサロンには、彼女を慕う大勢のファンが集う。子どもの学校の悩み、受験、親戚との確執、親身に悩みに寄り添うルミンは「いい人」そのもの。だがルミンの素顔には謎がある。 高校時代のルミンの記憶は真実なのか。ルミンをめぐるさまざまな人の思惑と言い分が交錯するミステリーコミックエッセイ『怖いトモダチ』(岡部えつ 原作・やまもとりえ 漫画 / KADOKAWA)。 ----------
岡部 えつ/山本 えり/FRaU マンガ部