広島・江田島の温泉宿が「ホテル業界のアカデミー賞」世界最高位受賞 滞在型インバウンド客から高評価
広島県江田島市の温泉宿が“ホテル業界のアカデミー賞”と言われる国際的な賞の「高級温泉宿部門」で世界最高位を受賞した。人口減に直面し、メジャーな観光地ではなかった江田島の宿がなぜ、国際的な賞を受賞できたのかを探る。 【画像】“ホテルのアカデミー賞”で江田島の宿が世界一に
「ワールド ラグジュアリー ホテル アワード」
広島県江田島市の温泉宿「江田島荘」が、“ホテル業界のアカデミー賞”と言われる「ワールド ラグジュアリー ホテル アワード」の「高級温泉宿(Luxury Hot Spring Hotel)部門」で世界最高位を、ほか2部門でもアジア最高位を受賞した。 国内では、外資系ホテルで受賞歴はあったが、中国地方では初めての受賞。観光地としてメジャーではなかった江田島の宿がなぜ海外から注目されるようになったのか。そこには、少子高齢化で人口減少に悩む江田島市の外から人を呼び寄せる戦略があった。 「江田島荘」は様々なグレードの32部屋からなる高級温泉宿として、2021年7月に開業した。国内外からのラグジュアリー志向の客層をターゲットに江田島市が建設費用の一部を補助した。
広島をゆっくり観る客の拠点に
コロナ禍の逆風の中でのオープンだったが、SNSなどで発信力を高め、広島県内外の宿泊客が徐々に増えていった。 2023年5月のG7サミットの際にはドイツ政府の随行団が宿泊。その際には、ドイツの郷土料理をイメージし、江田島のイノシシと柑橘類を使った料理でもてなした。 その影響もあってか、それまではほぼなかった外国人観光客の宿泊が2024年春以降、全体の1割以上に広がった。その多くは5泊から7泊ほど連泊し江田島荘を拠点に島を巡ったり、広島県内の観光に出かけたりするという。 つまり、広島周辺を巡る外国人観光客の宿泊拠点に江田島荘が選ばれているということだ。それだけ、腰を据えて落ち着ける宿という評価なのではないだろうか。フレンチなど食事の評価も高いことが、今回の受賞につながったとみられる。 今回、江田島荘が受賞した「ワールド ラグジュアリー ホテル アワード」は、旅行者や業界関係者など毎年30万人が投票する最高峰の賞で“ホテル業界のアカデミー賞”と呼ばれている。細分化されたカテゴリーは60以上に及び、その中で「国」「地域」「大陸」「世界」の順でレベルを競う。