日銀・黒田総裁会見6月16日(全文4)財政ファイナンスではない
超長期債金利は低位で安定する水準と認識しているのか
日経QUICKニュース:日経QUICKニュースの井田と申します。よろしくお願いします。2点、質問させていただきます。まず1点目ですが債券市場についてなんですけれども、先ほど総裁はイールドカーブを低位で安定させることが重要であるという発言もあったかと思いますが、4月の会見の以降も債券市場では超長期の金利が引き続き上昇しておりまして、先行きの財政悪化懸念ですとか、国債の増発を懸念してというところもあるかと思いますが、その中で中長期の国債に比べて超長期の国債の買い入れというのはこの間、増やされていないところもあるかと思うんですが、現状の超長期債の金利、例えば30年物国債で0.5%台というような数字は十分、低位で安定する水準のうちに入っているというご認識でいいんでしょうか。 また今後、金利上昇圧力が債券市場全体にかかってくるかとは思うんですけれども、そのときにイールドカーブ・コントロールで金利はある程度、上下に変動しうるとされているかと思うんですが、長期金利のコロナの対応の中における上昇の許容できる上昇幅といいますか、変動幅というのはどのようにご覧になっているのかお願いいたします。 黒田:日本の場合も、それから米欧の場合もそうですけども、金利の動きはさまざまなんですけども、米欧の場合でも超長期のやつはかなり上がっているんですよね。わが国の場合は超長期もそんなに上がってないと。それから10年物国債は0%程度でずっと安定していますし、中短期が少し、国際的な動きに引きつられて上がったりはしましたけども、全体としてはイールドカーブは適正な形で維持されていると思いますので、今後、政府がどのような形で国債を発行されていかれるのか、それがイールドカーブにどのような影響を与えるのか、そのイールドカーブの状況を見ながら、適切な買い入れを行って、イールドカーブ全体が低位で安定するようにするということは必要だと思うし、当然可能であるというふうに思っております。 日経QUICKニュース:長期金利の許容できる変動幅というところについてはどのようにお考えでしょうか。 黒田:これは先ほど来申し上げていたように、いわゆる総括的検証の考え方は維持しているわけですけども、今の時点でやっぱりイールドカーブ全体を低位に安定させるっていうことが一番重要だと思いますので、何か超長期金利についてどこまで上がっていいとか、上がってはいけないっていうようなものを特定しているわけではないと。全体としてイールドカーブが低位に安定するということを狙って、この長短金利操作付きの量的・質的金融緩和を運営していくということに尽きると思います。