なんと118段「日本一のひな飾り」の作り方 ── 東伊豆・稲取温泉
静岡県東伊豆町の稲取温泉は雛のつるし飾り発祥の地として知られるが、その稲取温泉の神社に118段のひな飾りが登場した。屋外に飾るひな飾りの段数としては、伊東市・佛現寺のひな飾りと並んで日本一だという。日本一のひな飾りは、どのようにして作られるのか?飾りつけに密着した。
午前9時すぎ、稲取温泉・田町地区にある素盞鳴(すさのお)神社に男達が現れて階段に赤い毛せんを敷き始めた。素盞鳴神社は、鳥居をくぐり急勾配の階段を上り切ると本殿がある地域の神社。本殿からは青々とした伊豆の海と稲取温泉が見渡せる雰囲気のある神社だ。作業をする人の数は、女性も加わって10人近くまで増え、急勾配の階段に赤い毛せんを折り目正しく敷いていく。作業をしているのは、いずれも稲取温泉旅館協同組合と観光協会のスタッフ。当番制で毎日、飾りつけをしているという。
毛せんを敷き終わると、神社境内のテントに保管している数々の雛人形を木板に乗せて運び出し、毛せんを敷いた壇の上に次々と飾りつけていく。雛人形は全部で380体。一体ずつ並べるのではなく、数体の雛人形を固定して壇に置いていくので、毛せんを敷くよりも早いペースで進んでいく。一般への公開は午前10時半から午後3時までだが、鳥居のまわりには気の早い観光客らがすでに大勢訪れて、カメラを手に飾りつけの様子を見守っている。雛人形を飾りつけたら、稲取発祥の雛のつるし飾りをひな壇の両脇に飾って完成。午後3時をすぎたら片付けて、翌朝、再び飾りつけを行うのだという。
稲取温泉旅館協同組合事務局長の田村佳之さんによると、素盞鳴神社のひな飾りは今年で4回目。稲取温泉では毎年、この時期に雛のつるし飾りまつりを開いて誘客を図っており、素盞鳴神社のひな飾りは雛のつるし飾りまつりをさらに盛り上げようと温泉旅館協同組合が企画したという。380体の雛人形は、地元や近隣を中心に広く呼びかけて集められたもの。1年目は鳥居から48段までの飾りつけだったが、2年目から神社本殿までの117段の飾りつけとなった。