中国が台湾周辺で軍事演習 各党が見解 民進党、野党を批判
(台北中央社)中国軍が23日に台湾周辺で統合軍事演習を始めたのを受け、立法院(国会)に議席を持つ各党はそれぞれ取材に応じ、党の見解を述べた。与党・民進党立法院党団(議員団)の呉思瑤(ごしよう)幹事長は、野党の国民党と民衆党が立法院で国会改革法案の強行採決を図っていることを念頭に、中国と野党が協力し合っているとして野党を批判した。 立法院では、同法案の採決に当たって手を組んでいる野党2党が議席の過半数を上回っている。民進党は議論が不十分などとして野党を糾弾。議場内で発生したもみ合いで複数の議員が病院に搬送されたり、立法院周辺に大勢の抗議者が詰めかけたりするなどの状況に発展している。 民進党の呉氏は、今回の軍事演習は20日に就任した頼清徳(らいせいとく)新総統や新政権に矛先を向けたものだと指摘した上で、台湾への威嚇にとどまらず、世界に対する脅しであり、世界中の民主主義同盟の国々への挑発でもあるとした。 最大野党・国民党立法院党団の洪孟楷(こうもうかい)書記長は、同党は最大野党として中華民国の主権を防衛すると発言。政府は人々に対し現時点で把握している状況や対応措置を伝え、民衆を不安に陥れないようにするべきだとした。また互いに信頼できる意思疎通ルートを築くことで、不意の出来事によって戦争が始まる可能性を高めないようにする必要があると訴えた。 第3党・民衆党立法院党団の黄国昌(こうこくしょう)総召(院内総務)は、中国による今回のような武力による挑発は、両岸(台湾と中国)の平和や安定に対し全く助けにならないとし、中国側に自制を呼びかけた。頼総統が20日に行った就任演説が軍事演習の原因になったと考えるかを問われると、中国側の動機についてはむやみに推測しないと答えた。 中国軍の発表によると、中国軍は23日午前7時45分、台湾海峡、台湾の北部、南部、東部、中国大陸に近い金門島、馬祖島、烏坵、東引島周辺で2日間にわたる統合演習を開始。同軍は演習について「台湾独立分裂勢力の『独立』を企てる行為への強力な戒めで、干渉や挑発をする外部勢力への重大な警告」だとしている。 (郭建伸、范正祥、林敬殷/編集:田中宏樹)