【韓国ドラマ】注目時代劇『オク氏夫人伝』に登場する「烈女門」とは何か?当時の男尊女卑思想の悪習だったのか
U-NEXTで配信されている『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』。全16話の時代劇だが、まるで傑作映画の連作のような重層な物語展開となっている。第8話から第9話にかけては「烈女門」のことが大きく取り上げられていた。(以下、一部ネタバレを含みます) ■【画像】話題作『オク氏夫人伝』若手イケメン俳優チュ・ヨンウの人気急上昇中!愛する人を一途に守り続ける真摯な姿に胸熱必至!
■時代劇『オク氏夫人伝』の歴史解説、「烈女」「烈女門」とは何か?
『オク氏夫人伝』でイム・ジヨンが演じているのは奴婢のクドクだ。残忍な主人からひどい虐待を受け、逃亡の末に数奇な運命を経て良家の令嬢オク・テヨンとなった。 彼女は外知部(ウェジブ/訴訟の際の弁護人)の逸材として大活躍をしていた。しかし、夫のソン・ユンギョム(チュ・ヨンウ)は7年間も行方不明だった。そこに目をつけたのが狡猾な県監(ヒョンガム/地元の行政官)だ。 彼はオク・テヨンに恨みを持つ悪徳な夫人と結託して、オク・テヨンを寡婦に仕立てようとした。身元がわからない遺体を無理やりソン・ユンギョムだとみなし、それを認めないオク・テヨンを投獄してしまったのだ。 なぜそこまで県監が強引だったのか。自分の村から「烈女」を出して、その恩恵を享受することを狙ったのだ。 ドラマを見ている視聴者は、そもそも「烈女」とは何か、と戸惑ってしまう。そこで、歴史的な意味を解説しよう。 朝鮮王朝時代の「烈女」とは、夫が亡くなったときに後を追って自害する夫人のことだ。朝鮮王朝が国教としていた儒教には男尊女卑の思想が濃厚にあり、その中で極端な風習になっていたのが「烈女」崇拝だった。 この場合、「烈女」が出た家や村の前に「烈女門」を造り、一家を称賛して様々な恩恵を施した。 特に有名なのが21代王・英祖(ヨンジョ)の長女であった和順(ファスン)王女である。彼女は、夫が亡くなったときに断食をして何も食べなかった。夫の後を追って命を終えようという意思表示だった。 英祖は娘を溺愛していたので、断食をやめさせようと説得した。しかし、和順王女は気持ちを変えず、衰弱していった。ついに、断食から14日目に世を去った。英祖としても本当に無念だった。 当時は「烈女不事二夫」という信念が称賛されていた。「烈女は二人の夫に事(つか)えず」ということだ。 それは、儒教的な男尊女卑思想の象徴であったのに、和順王女はその風潮に染まりきっていた。 父親の国王ですら防げなかった「亡き夫の後を追った妻の自害」。朝鮮王朝はそんな時代だった。