障害がある人もない人も、すべての人にとって「世界一」の帝国劇場に。We Need Accessible Theatre!
誰も排除しない劇場に求めるもの。ハード面だけでなく、情報保障の充実を
「ウィー・ニード・アクセシブル・シアター」は、署名に賛同した人たちを対象に、新しく建て替えられる帝国劇場に求めることについて、自由回答式のアンケート調査も実施。10日間で約140名の回答が集まった。最も多かったのは建物のバリアフリーに関する要望だったが、それ以外にも字幕表示や手話通訳、音声ガイドなどの情報保障の充実を求める声が数多く寄せられた。団体メンバーの山崎有紀子さんは、自身の思いをこう語る。 「私は難聴のため、舞台に字幕をつけてほしいと普段からさまざまな劇場にお願いをして観に行っています。字幕公演は小劇場や公立劇場を中心に少しずつ増えていますが、残念ながら帝国劇場の公演に字幕表示はありません。台本データの入ったタブレットを借りることはできますが、役者さんがどの部分を話しているか分かりにくく、字幕がほしいと思うことが多々あります。 演劇関係の方に字幕がつけられない理由を尋ねると、本当は対応したいがその費用がない、人手が足りないなどといった声をいただきます。コロナ禍による疲弊もあり、劇場側の自助努力には限界があるのでしょう。多様な人が集まる豊かな場に劇場が変わっていくためには、国や自治体による観劇サポートに特化した助成金制度などの支援が必要だと感じています」 長年の演劇ファンであり、役者としても活動を続ける美月めぐみさんは、視覚障害がある人ならではの困りごとについて実情を打ち明けた。 「帝国劇場は、視覚障害者が単独で行きやすい劇場です。なぜかというと、東京メトロ有楽町線の有楽町駅からエレベーターで直結しているからです。私は帝国劇場にかれこれ40年ぐらい通っていますが、席によっては階段が非常に狭くて急なところがあり、とても怖い思いをすることがあります。音声ガイドの提供もありません。そのため、劇中で歌やセリフのない場面があると、ストーリーに置いていかれることもしばしばです。 視覚障害者の中には、ひとりで移動するのが難しい方もいらっしゃいます。そういった方は同行援護という福祉サービスを受けられるのですが、観劇時のガイドヘルパーさんのチケット代は自己負担しなければいけません。帝国劇場のような大劇場は、小劇場と比べてかかる料金も大きくなります。例えば付き添いの人のチケット代を無料、もしくは減額するなどといった支援の可能性も、今後検討していただけたらうれしいです」