重要施設周辺の外国人土地取得、都市部目立つ 「阻害行為」確認なし
内閣府は23日、土地利用規制法で2023年度までに規制対象区域に指定された計399カ所について、土地・建物の取得状況調査の結果を発表した。同年度中の取引のうち、外国人や外国系企業が取得したのは2.2%で、「重要施設の機能を阻害するような行為」は確認されなかった。 22年9月に全面施行された土地利用規制法は、自衛隊や米軍の基地といった重要施設の周辺1キロや、国境の離島を「注視区域」や「特別注視区域」に指定。政府は土地の利用状況を調べ、施設の機能を損ねる行為に罰則付きの命令などを出せる。これまでに4回に分けて計583カ所が規制対象区域として指定された。 内閣府は今回、うち399カ所の23年度1年間の土地・建物の取得状況について、登記簿や住民基本台帳などを使って調べた。 その結果、1万6862筆個(土地1万514筆、建物6348個)の土地・建物が取得され、このうち外国人や外国系企業が取得したのは371筆個(土地174筆、建物197個)と全体の2.2%。面積は3万8069平方メートルで、取引全体の0.8%だった。 取得数が多かった国・地域は、香港を含む中国(203筆個、54.7%)、韓国(49筆個、13.2%)、台湾(46筆個、12.4%)。都道府県別では東京都(171筆個)、千葉県(38筆個)、福岡県(31筆個)、注視区域別では防衛省市ケ谷庁舎(東京都新宿区)や補給統制本部(東京都北区)など、そもそも不動産取引が活発な都市部が上位を占めた。 内閣府によると、防衛省市ケ谷庁舎のある東京都新宿区はもともと外国人が多く、区民35万人のうち約4万8千人(12月時点)が外国籍で、登録外国人のうち4割を中国人が占めるという。区域での取引の大多数はアパートやマンションだったという。 同省は今後、沖縄の米軍基地周辺の規制対象区域についても土地・建物の取引状況を調査し、発表する。(渡辺洋介) ■外国人・外国系企業による土地・建物取得が多い注視区域 (1)防衛省市ケ谷庁舎(東京都) 104筆個 (2)補給統制本部(同) 39筆個 (3)練馬駐屯地(同) 20筆個 (4)福岡駐屯地・自衛隊福岡病院・春日基地(福岡県)16筆個 (5)松戸支処(千葉県) 15筆個
朝日新聞社