【インターハイ展望Aブロック】優勝候補クラスのチームが居並ぶ激戦区!興國vs静岡学園の1回戦屈指の注目カードも実現
今年のインターハイの各種競技は福岡県を中心とした九州北部地域で開催されるが、男子サッカー競技は7月27日から8月3日にかけてJヴィレッジを中心とした6会場で熱戦が繰り広げられる。出場権を掴んだ52校は、改革初年度に相応しい多種多様な顔ぶれが並ぶ。トーナメントを4つのブロックに分けて、大会の見どころを紹介していく。 明秀日立が昨年日本一となり得た第1シードの座に収まった鹿島学園(茨城)から高知小津(高知)までのAブロックは優勝候補クラスのチームが居並ぶ激戦区となっている。1回戦屈指の注目カードと言えるのが興國(大阪1)と静岡学園(静岡)の一戦だ。攻撃的な印象の強い興國だが、今年のチームで目を惹くのは守備意識の高さ。主将のDF的羽航人(3年)を中心とした守備は強固で予選5試合を1失点に留めた。テンポよくバイタルエリアまで持ち込む攻撃の鋭さも兼ね備えており、プリンスリーグ関西1部で首位を走る力は確かだ。対する静岡学園はプレミアリーグWESTでは苦しい戦いを強いられたが、高さと足元を備えたDF矢澤怜士(3年)を筆頭に特徴のある選手が揃う。開幕から怪我が続いた主将のDF野田裕人(3年)が復帰したのもプラス材料。互いに手の内をよく知るチーム同士の対戦とあり、最後まで目が離せない展開になりそうだ。 勝者が2回戦で当たるカードも予想が付かない。今年の東山(京都)は日本一を目指し、新チーム発足後から選手層の厚いチーム作りに着手。福重良一監督が予選後に「上で戦える15、16、17人が徐々にできつつある」と口にした通り、誰が試合(山口)に出ても東山らしい強度の高いサッカーができるチームになりつつある。対する高川学園も主将のDF沖野眞之介(3年)を筆頭に各所に昨年の選手権を知る選手が揃う高チーム。4年ぶりに復帰したプリンスリーグ中国で上位争いを繰り広げるだけの力はある。 ここを勝ち上がっても隣の山にも難敵が集う。日章学園(宮崎)はサウサンプトン内定のFW高岡伶颯(3年)だけでなく、スピードと決定力を備えたMF南創太(3年)や九州No.1CBのDF吉川昂我(3年)などタレントが揃う注目チーム。主将のMF竹内孝誠(3年)を中心に粘り強い守備から迫力のある攻撃を繰り出す鵬学園(石川)と戦術理解度の高さが目を惹く鹿島学園(茨城)も上位に食い込むだけの力を持っている。 反対の山は神村学園(鹿児島)が頭一つ抜けている。今年は複数のJクラブが熱心を送るMF名和田我空(3年)を筆頭にDF新垣陽盛(3年)、MF大成健人(3年)とタレント揃い。FW日高元(2年)ら下級生の台頭も著しい。プレミアリーグWESTの前期は失点が嵩み、勝点が伸び悩んだが、持ち前の攻撃力を発揮し、9節から3連勝して前期を終えたのも好都合だ。ただ、有村圭一郎監督が「1回戦だけは分からない。力があって勝てなかったりする」と口にする通り、蓋を開けてみないとどうなるか分からないのがトーナメントの難しさ。3大会ぶり9回目の出場となる西目(秋田)、27大会ぶり9回目の出場の高知小津(高知)は“打倒・神村学園”を掲げ、番狂わせを狙っている。 この山には「うちでは一番インパクトのある選手だと思う」と高橋裕之監督が評する東京都市大塩尻(長野)のMF市川響己(3年)や、仙台育英(宮城)の攻撃を司るMF黒葛原結天(3年)、予選決勝で2点を奪い共愛学園(群馬)を初出場に導いたMF中野一颯(3年)など実力者が名を連ねる。今大会の躍進次第では注目を集める存在になりそうだ。 (文・写真=森田将義)