ゲストハウスは「生き方」。だからぶれない──苦境に向き合うオーナーたちの知恵【#コロナとどう暮らす】
それでも地域密着でやっていきたい
100軒を超えるゲストハウスを泊まり歩いた、イラストエッセイストの松鳥むうさん(43)は、「ゲストハウスの魅力は、個性豊かなオーナーさんと交流できること」と言う。 「みなさん、自分の生き方や仕事について考え抜いたうえで宿を開業した人ばかりだから、考えが深くて、今回のコロナ禍でも本当にぶれてないんですよ」 しかし、楽観はできないと念を押す。 「ゲストハウスは地域密着。宿から一人でも感染者が出てしまうと、地域に及ぼす影響が大きい。ですから、受け入れるほうも、旅するほうも、安心できるまでにはまだしばらく時間がかかると思っています。私も、現地の人と連絡を取り合って状況を見つつ、少しずつ旅を再開していきたい。ゲストハウスが存続するためには、もうしばらくは国の支援が続けば良いと思いますね」 櫻井さんは言う。 「『コロナの影響は最低1年は続くだろう』というのが、僕が話したオーナーたちの共通理解でした。なかには3年は続くだろうと言う人もいました」 受け入れる地域の事情も鑑みてのことだ。宿の都合だけで営業することは難しい。櫻井さんも日置さんも、こう口をそろえる。 「宿だけで完結せずに、地域とつながっていきたい」 --- 鈴木紗耶香(すずき・さやか) フリーライター・編集者。民俗、宗教、宗教美術、工芸、辺境、メンタルヘルスや文化にまつわる社会問題が主な関心ごと。