ゲストハウスは「生き方」。だからぶれない──苦境に向き合うオーナーたちの知恵【#コロナとどう暮らす】
第2、3波が来れば持ちこたえられないかもしれない
ホテル・旅館は、宴会場を除き、新型コロナウイルス特別措置法に基づく休業要請の対象施設から外れる。 櫻井さんは、4月15日から24日まで自主的に休業した。25日からは、櫻井さん1人で「ひっそりと」営業を再開した。ドミトリーの定員を6人から3人に減らし、カフェスペースのテーブルの距離を空け、換気・消毒を徹底した。 家賃や水道光熱費などの固定費や家族の生活費を賄うため、持続化給付金を申請。個人事業主の上限である100万円満額が振り込まれた。 「それでなんとかしのげましたね」 家賃も、大家さんに事情を話して減免してもらった。休んでもらっているスタッフにも給料を払えるよう、雇用調整助成金も申請した。 国の支援を待つだけでなく、自分たちにできることを模索した。オンライン会議を開いて、宿のオーナーたちと情報交換をしたり、地元の人々と亀時間を利用するアイデアを出し合ったりした。オンラインバーも開催。参加者は宿のリピーターを中心に、初見の人もいた。 「もともとオンラインイベントには半信半疑だったのですが、実際にやってみると、リアルにつながっていく可能性を感じました」 あるスタッフの家族は、「9周年記念にオリジナルエプロンを作って、販売しよう」と持ちかけてくれた。予定した20着は3日で予約完売。一番最後に注文した人は4カ月待ちとなった。 「たくさんの応援のメッセージをくださった方や、グッズ購入などでご支援くださっている方、自主的に亀時間のために動いてくれるスタッフや周囲の仲間、背後で支えてくれる大家さんの存在は、本当に心の支えになりましたね」 とはいえ、櫻井さんはこの先を楽観視しているわけではない。第2、3波が来れば持ちこたえられないかもしれないと考えている。 「そのときは、追加の助成でもない限り、次の生き方を考えなければいけないかな。自由な生き方を目指してここにたどりついているので、執着したくはない。新しい流れが来るなら、そこに適応して生きていく腹は据わってます」