歯並びや口腔内に影響を及ぼす「埋伏歯(まいふくし)」とは? 放置のリスクや早期発見のポイントを歯科医が解説!
埋伏歯があると歯並びが悪くなる? 埋伏歯に潜むリスクとは
編集部:顎の中に埋伏歯があると、どのようなリスクがありますか? 寺久保先生:しかるべき時期に大人の歯が生えてこないことで、歯並び全体が歪んでしまったり、もともと悪かった歯並びがさらに悪化したりするリスクがあります。 編集部:まずは歯並びの問題が生じやすいのですね。そのほかに、埋伏歯にはどんなリスクがありますか? 寺久保先生:糸切り歯(犬歯)が埋伏しているケースでは、ほかの永久歯に余計な負担がかかりやすくなります。これは、犬歯に噛み合わせのバランスを取る重要な役割があるためです。さらに、埋伏歯の位置や状態によっては、隣の永久歯に損傷を与えてしまうことがあります。その場合、損傷を受けた歯は抜歯になる可能性もあるため注意が必要です。 編集部:発見の遅れによって、これらのリスクが増大することもあるのでしょうか? 寺久保先生:はい。実際、埋伏歯に気づくのが遅れてしまった結果、2本の永久歯がダメになってしまうケースもあります。「もう少し早く来院してくれれば……」というケースも意外と多いため、やはり早期発見・早期治療が重要だと思います。
埋伏歯を早期に発見するポイント・治療法は?
編集部:埋伏歯を早期に発見するためには、どのような点に注意したらいいでしょうか? 寺久保先生:日頃から歯科健診を習慣化し、定期的にレントゲンを撮ってもらうことが埋伏歯における早期発見の最優先事項だと思います。また、お子さんの場合は永久歯が生えた後、半年~1年が過ぎても隣の永久歯が生えてこない場合は、かかりつけ歯科医に相談していただくのが発見の第一歩です。永久歯の生え変わりの時期は定期的に受診し、永久歯が正常に生えているか、本数に問題ないかをチェックしてもらいましょう。 編集部:埋伏歯が見つかった場合、どのような治療がおこなわれますか? 寺久保先生:自然な萌出が見込める埋伏歯については、萌出に障害となるもの(乳歯・スペースの不足)を取り除いてあげて、生えてくるのを待つこともあります。ただ、この方法でも生えてこない場合は、歯ぐきや骨を少し開く「開窓(かいそう)」という処置をおこないます。その後、埋伏歯に器具をつけて引き出す「牽引(けんいん)」という治療をおこないます。埋伏歯を引き出した後は、通常の矯正治療で歯並びを整えていきます。 編集部:最後に、読者へのメッセージをお願いします。 寺久保先生:埋伏歯の対応については、全ての永久歯が生えてからおこなうのではなく、比較的早期に治療介入することが望ましいケースもあります。乳歯がなかなか抜けない、あるいは乳歯が抜けて何カ月も経つのに永久歯が生えてこない場合は、早めにかかりつけ歯科医院を受診することをおすすめします。経過観察しても改善しない場合には、大学病院や矯正専門医に相談するといいでしょう。