レディース暴走族のトップで覚醒剤の売人だった女性は、改心し「みんなの母親」目指す(下) 過去を武勇伝のように語る彼女に、正直な思いをぶつけると―
半年間限定の予定で働いている末吉優一さん(31)は、広瀬さんから「やりたいことやって駄目だったら、帰ってくればいいじゃん」と迎えられた。 末吉さんは14歳の時から何度も逮捕されてきたと身の上を話す。 「刑務所は衣食住がそろっていて、何も考えずにすむ。塀の中に戻りたくなる時もある」 出所してから約4年半。拾ってくれた広瀬さんに「1ミリでも役に立って、成長した姿を見せたい」。 刑務所と社会を行ったり来たりとトラブルの絶えないたくさんの人が、広瀬さんの下に集まってくる。広瀬さんは今後、女性も働きやすい職種を開拓しようと、ビジネスホテルの運営も始める計画だ。 こうして会社が成長すると、新たな悩みも出てきた。 ▽家族か仕事か 「40人規模の母ちゃんにはなれない」 いま広瀬さんは、大切にしてきた「家族」がおざなりになることにジレンマを抱えている。 社員から「社長としゃべる機会がなくなった」と寂しさを吐露されたことがある。娘からは「ママは従業員のことばっかりで、ちいちゃんのこと後回しだよね」と言われた。
娘のために頑張ってきたはずが、昔の自分と同じ寂しい思いをさせているのでは―。娘は、広瀬さんの娘であるが故に、「あの子と遊んではいけない」と後ろ指をさされたことがあるという。 「罪のないちいちゃんに、私が昔したことが違う形で返ってくるのが怖い。将来の幅も狭めてしまっていると、負い目を感じる」 広瀬さんの語りは、いつも本音だと思える。 ▽「元」でも犯罪者 広瀬さんが出所して15年がたつ。しかし、「元犯罪者」のレッテルは今も付きまとう。近所では応援してくれる人もいるが、一部からは「犯罪者の集団だ」と見られ、信用されていないと感じるという。 「関わりたくないと思うのが普通だと思う。『元』でも、犯罪者。ずっと続くと思う」 娘への負い目、リンチした仲間、薬物を売った客、暴走行為で迷惑をかけた人―。たくさんの「罪」の上に、今の生き方がある。 「はっきり言って、出所者を雇うのは社会貢献や罪滅ぼしなんかじゃない。自分の居場所作り」
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