レディース暴走族のトップで覚醒剤の売人だった女性は、改心し「みんなの母親」目指す(下) 過去を武勇伝のように語る彼女に、正直な思いをぶつけると―
「札付きの悪女」で、獄中出産まで経験した広瀬伸恵さん(46)。「居場所があれば人は更生できる」と、栃木県栃木市に建設会社「大伸ワークサポート」を設立した。社員約40人の約8割が刑務所や少年院からの出所者だ。 【写真】木曜日を除いて毎日、刑務所の前で「出待ち」を続ける男性、何をしている? 「やめられない」同行して分かった理由
何度社員に逃げられ、裏切られても、出所者を雇い続ける。そんな広瀬さんの活動には意義がある。そう考え取材を進めたが、昔の過ちを武勇伝のように語る姿には、戸惑うこともあった。報道していいのか、悩んだ。そのことを正直に伝えると、彼女の答えは―。(共同通信=鷺森葵) (上)はこちら:レディース暴走族のトップで覚醒剤の売人だった女性は、改心し「みんなの母親」目指す 何度裏切られても、刑務所や少年院を出た社員を雇い続け… ▽受刑者専用求人 大伸への応募者は全国にいる。最も多いのが、受刑者専用求人雑誌「Chance!!」を読んだ人だという。刑務所の中で就職活動ができ、手紙でやりとりを始める。 広瀬さんは誌面にこうメッセージを寄せている。 「誰もが過去を変えることはできないけれども、未来は変えることができます。私は決して見捨てたり見放したりしません! 人は誰かの支えで必ずやり直すことができるのです」
応募してきた全員を雇うわけではない。 「もう二度としませんは、うそくさい」と広瀬さん。再犯しない理由や犯罪に走った経緯に注目する。そして、面接のため全国各地の刑務所に車を走らせる。 ▽プレハブに入寮 「おかえり」。8月、新潟刑務所から出所した50代の男性2人が広瀬さんに迎えられた。そのうちの1人は、金さん。 「新潟まで2回も面会に来てくれた。衣食住がそろってるなんて環境、本当にありがたいですよ」 出所者は、広瀬さん宅に併設されたプレハブで暮らし始める。 新人2人の「入寮」翌日、広瀬さんはさっそく、2人の新生活準備に取りかかった。 まずは健康診断。午後は家具店や携帯電話ショップへ。元受刑者は契約できないケースも多いため、広瀬さんが会社名義のスマホを契約して渡す。丸1日を使って手続きと移動を繰り返す間、ひっきりなしに広瀬さんの携帯電話が鳴る。驚くほど忙しい人だ。 ▽拾ってくれた恩を返したい
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