最難関テーマ「自殺予防」と向き合う専門家 苦しみを抱える人に伝えたいこと #今つらいあなたへ
悩みを抱えた人がいたら まわりの人ができること
編集部: 自殺のリスクがあると考えられる人に対し、家族や友人などが知っておくべきことや、できることを教えてください。 河西教授: 保健・医療の観点からみると、自殺をされた人の大半は「精神疾患」に罹患していることがわかっています。自殺はその人の信条や冷静な判断でなされているのではなく、脳の機能が「機能不全」に陥った中で実行されているということを、まず知っていただきたいです。 津山さん: 表情が暗かったり、そわそわしていたりと、いつもと違う気持ちや行動に気づいたら、勇気を出して、心配していることを伝え、もし話しをしてくれた時には、つらさをねぎらい、話してくれたことへの感謝を伝えてほしいです。 思ったような返答が得られなかったとしても、あきらめずに見守り、また話しかけてほしいです。 河西教授: その人の悩んでいることを一度の話し合いや助言で解決できると思わないほうがよいです。相手に心配と懸念を持ち続け、繋がり続けていくことが大切です。 編集部: 自殺のリスクがある若者を早期に発見するためのポイントは何でしょうか? 津山さん: リスク因子として一番気にかける必要があるのは、過去の自殺未遂や自傷行為の経験です。それが明らかになった場合には、適切な支援と見守りが重要です。 これほど明確なものではなくても、例えば、大切な人との離別・死別といった大きな喪失体験の直後や、学生の場合、急な成績低下や遅刻・欠席の増加、部活動に出てこなくなったなど、普段と異なる様子や変化には気を配りたいところです。 例えば、ある日、学生が不注意によりケガをしたと保健室や医務室に来た場合、一見自殺リスクと無関係に感じられるかもしれませんが、ケガをした理由や生活の様子をよくよく聞いてみると、実は深い悩みを抱えていたり、かなり無理な生活をしていたりと、その背景にメンタルヘルス不調が隠れていたということは少なくありません。