北陸新幹線「延伸問題」 米原から先は、滋賀県「通勤新線構想」で解決できるのでは?
所要時間半減の可能性
この新線について、滋賀県は 「近畿圏と東海、北陸経済圏とを結ぶ交通の要衝の位置にあり、震災等により交通が寸断された場合、重要なバイパス機能(第二東海道線)の役割を果たす」 「滋賀県から関西文化学術研究都市への所要時間は、大幅に短縮されます。新しい地域との結びつきが、新しい可能性を生み出します」 としている。信楽高原鉄道のウェブサイトによると、新線が実現すれば、米原~京田辺間の所要時間が2時間38分(鉄道1時間38分+車1時間)から1時間16分に短縮され、時間が半分になるという。 しかし、期成同盟会の方針は 「まずは地域と鉄道事業者が一体となって既存鉄道の利用促進に取り組む」 とされており、このままでは実現までの道のりは長いだろうと筆者は感じている。
新幹線ルート試算と効果
「米原ルートでも、新大阪~米原間の整備は必要だ」というコメントのなかで、具体的な経由地が示されたものの多くは、実際には「びわこ京阪奈新線」とほぼ同じルートに当たるものだった。 米原ルートの新大阪までの別線案は、滋賀県が受け入れることは難しいと思われるが、もしびわこ京阪奈新線を北陸新幹線の一部として整備する条件なら、検討の余地はあるだろう。このルートであれば、小浜・京都ルートと同様に松井山手駅も通るし、京都市とともに地下水問題で関わる交野市を避けることができる。 そこで、北陸新幹線を米原・びわこ京阪奈ルートで整備した場合の詳細なルートや時刻を検討し、時間短縮効果などを試算してみた。これもひとつの仮定として楽しんでいただければと思う。 まず、ルートと駅の設置についてだ。新幹線なので多くの駅を設けることは現実的ではないが、びわこ京阪奈新線を兼ねて整備する場合、最低限、ルート上で交差する路線との乗換駅や、信楽高原鉄道の各駅からの利用者を拾うための駅設置は必須となる。 また、できるだけ市街化されていない駅を選びたい。そこで、新大阪~米原間で候補となる駅は、 ・学研都市線「松井山手駅」 ・奈良線「山城青谷駅」 ・信楽高原鉄道「信楽駅」 ・信楽高原鉄道・近江鉄道・草津線「貴生川駅」 である。特に注目すべきは、松井山手~山城青谷間の6.7kmという駅間の短さだ。都心部以外でこの駅間が短い例はあり、九州新幹線の新鳥栖~久留米間は7.1kmだ。1区間くらいなら許容されるだろう。また、信楽~貴生川間も11.9kmと短いが、北陸新幹線には加賀温泉~小松間の14.5kmという例もあり、特に問題にはならないと考えられる。