妹たちには甘々、長女の私には厳しく…介護もしたくないほどの実父との関係
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、50代の実父についてのお悩みです。「子供ながらに傷ついてきた」というその訳は……。 【画像】理不尽な怒りに耐えた妻と夫の老後 「幼少期から私にだけ厳しく、妹たちには甘い父」 50代の父との関係に悩んでいます。 父は昔から長女である私には厳しく、妹たちには甘い印象が小さな頃からありました。それは大人になっても変わらずで、姉妹間のトラブルがあった際も妹たちの肩を持ち私の話には聞く耳をもちません。子どもながらにその対応の差に傷ついてきたのですが、大人になった今では半ば諦めています。 母だけは老後の面倒も見るつもりではいますが、父は……と考えてしまいます。 (30歳・女性・医療・福祉/専門職) ■家族構成:自分30歳、夫33歳、長女4歳、長男3歳、次男0歳、実妹2人、実両親50代 ■お困り度:★★★★★★★★☆☆ 子どもの頃から、お父さんの対応に傷ついてこられたのですね。親にとって子どもたちみんなを平等に育てるのはとても難しいことですが、少なくとも、子どもたちの誰かが対応の差に辛い思いをしていないか気を配り、訴えがあれば耳を傾けるのが適切な育児だと思います。 相談者さんのお父さんは、妹さんたちには甘いのに相談者さんにだけ厳しくされて、相談者さんのお話には聞く耳も持ってもらえなかったとのこと、小さな頃から積み重なった傷つきは相当なものと想像します。「大人になった今では諦めています」と書いてくださったことから、諦めるに至るまでには様々な試行錯誤や努力があったであろうことが伺えました。そのうえで今からお父さんとの関係を改善していくのは、きっと困難なのだろうとも推察いたします。 お父さんの老後の面倒を見る気になれないのは、これまでの流れからすれば当然だと思います。相談者さんが面倒を見たくないのであれば見なくてもいいと思います。お父さんは50代とのことですが、今すでに面倒を見ることが必要な状態でしょうか。もしも今はまだ大丈夫だけれど先々がご心配ということで、相談者さんが面倒を見ないと具体的な問題が起きそうなのであれば、今のうちにできることを調べたり準備したりしておくとよいかもしれませんね。 直接面倒を見るのは嫌でも、福祉サービスの活用やそれらの手配等をする、経済的に援助するくらいならできそうなのか、それとも一切の関与をしたくないのか、という辺りのご自分のお気持ちも掘り下げて考えておくと良いかと思います。そのうえで、できることがありそうならそれはどんなことかを考えておくと、実際に面倒を見なくてはならない状況になった時に動きやすいのではないでしょうか。 一切の関与をしたくない場合は、妹さんたちにお願いするなどして最小限の関わりにとどめ、心置きなく面倒を見ないご自分を受け入れてあげられると良いと思います。世間一般の価値観から、老親の面倒を見ないご自分を否定的に感じてしまうかもしれませんが、面倒を見たくないお気持ちになるに値する長期的な経緯があったのですから、相談者さんは何も悪くありません。一番大切なのは、相談者さんの本当のお気持ちです。これまでお父さんには耳を傾けてもらえなかったご自分のお気持ちを、相談者さんご自身で大切にしてあげられるといいですね。 (文:臨床心理士 たかだちかこ/うららか相談室)