コロンビアで国際同性結婚をした僧侶 LGBTQの課題を明るく伝える手本に
浄土宗の僧侶であり、メイクアップアーティストでもある西村宏堂さんは2023年9月、同性婚が認められているコロンビアで、コロンビア人のパートナーと国際同性結婚をし、現在2人は日本で新しい生活をスタートさせている。最初に簡単ではあるが、西村さんのこれまでの経歴を紹介する。 【関連画像】「日本では婚姻に関してまだまだ平等ではないけれども、ネガティブな伝え方より、ポジティブな面を伝えていきたい」(西村さん)。『超多様性トークショー!なれそめ』は、NHK Eテレで4月5日放送予定。放送後1週間はNHKプラスで見逃し配信が可能(写真:NHK提供) 都内にあるお寺に生まれた西村さんは、幼い頃から「お姫様ごっこ」をするのが大好きな子供だったという。頭から風呂敷をかぶってロングヘアになった気分を味わったり、母親のスカートをはいてみたり。けれども小学生になると、周囲から「女の子っぽい」と言われるようになり、だんだんと本当の自分を出せなくなっていった。 自分のセクシュアリティを封印し、心を許せる友達もできなかったという高校生時代、西村さんを救ったのは「英語」だった。中学生のときに家族と行った海外旅行がきっかけで、留学を将来の目標としていた西村さんは、ますます英語学習に没頭。自由なイメージのある米国なら、自分を受け入れてくれるかもしれない――。そんな思いを抱いて、高校卒業後は米国の大学へ進学する。 幼少期からメイクをしたり、マニキュアを塗ったりするのが好きだった西村さんが、本格的にメイクアップアーティストへの道を歩み始めたのは、大学3年生のとき。ニューヨークで活躍していたメイクアップアーティストのアシスタントとなり、修行を始めた。 その頃大学で、まもなく兵役に付く韓国人同級生のパフォーマンスアート(大学の課題の一つ)を目の当たりにした西村さん。韓国では18歳以上の男性は兵役義務がある。西村さん自身、お寺の子供として生まれたが仏教に対して抵抗感を抱き、どこかで避けていた部分があった。だからこそ同級生の覚悟が胸に刺さった。「このままでは変われない」。同級生が兵役に立ち向かう姿を見て、自身を見つめ直した西村さんは、ルーツである仏教と向き合うことを決意する。 そんな自身の半生を描いた著書『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』(サンマーク出版)は、現在8カ国で翻訳されている。そのスペイン語版を出版する打ち合わせと休暇を兼ねて訪れたスペイン・バルセロナで、そののち国際同性結婚をするフアン・パブロ・レジェス・ディアスさんと出会う。 西村さんは現在、LGBTQ活動家として、米ニューヨーク国連人口基金本部やハーバード大学などで講演を行うなど、世界中を飛び回る。各メディアからの取材も多く、4月5日にはNHKEテレで放送予定の『超多様性トークショー!なれそめ』にパートナーとともに出演する。 そんな西村さんに、同性愛者であることで苦しんでいた過去、結婚に対しての考え方、同性婚が認められていない日本での暮らしなどについて話を聞いた。