ほとんどの親がやりがち!? 不登校専門カウンセラーが語る、子どもと接するときに“やってはいけないこと”
子どもの話を聞く
友人や仕事相手などとの人間関係がスムーズで「コミュニケーション力が高い」といわれる人でも、親子関係となるとコミュニケーションが良好とはいえないケースは多々あります。 親子間での適切なコミュニケーションの第一歩は、“子どもの話をぜんぶ聞くこと”です。「そんな簡単なこと?」と思われるかもしれませんが、言うは易やすく行うは難かたし。ほとんどの親御さんは意外とできないものなのです。 その原因のひとつには、“親が喋り過ぎてしまう”ことが挙げられます。逆に今まで私がカウンセリングをさせていただいてきた中で、喋り過ぎではない親御さんには会ったことがないと言っても過言ではありません。 「子どもが喋ってくれない」と言う親御さんはたくさんいますが、実は「子どもに喋らせないだけ」といった場合も大変多いです。子どもの言葉が出る前に、自分がどんどん喋ってしまうからです。 子どもが小さい頃から「早く準備しなさい」「早く寝なさい」などと急かすクセがついてしまっていませんか? 子どもが伝えづらそうにしていて、スムーズに言葉が出てこないと、先回りをして「それってこういうこと?」「それで?」と先を急がせてしまったり、お子さんの言い分に納得できなかったり間違っていると感じたりすると、「でもね」「いやいや」と話を遮さえぎって、持論を展開し始めてしまうこともあるでしょう。 家事や仕事で時間に追われて、つい「早く聞きたい」「早く喋ってほしい」と思うこともあると思います。 子どもは話しながら次に話すことを考えていたり、微妙なニュアンスを表現する語彙(ごい)を探したり、大人からすると「だから何?」と流してしまう日常のささいなことを大事な話として伝えたりすることもあります。時間がかかって当然なのです。 また、「子どもはこう言っているけど、こうしてほしい」「こちらの判断のほうが正しい」と考えて、子どもの話を遮ってしまう、聞いたとしてもすぐに反論してしまうなど、意見の相違のせいで、話を聞けない場合もあるでしょう。 子どもが話を始めたら、最後まで聞く・先を急かさない・すぐに否定をしないというのは大前提です。もし子どもと意見が合わないのであれば、お互いが納得するまで話し合うか、いったん結論は保留にして、子どもの気が変わるか、親である自分の気持ちが変わるかを待つことも大切です。 子どもと話すときには、「口を挟まずにぜんぶ聞くこと」と自身に言い聞かせてからのぞんでもいいですね。「そこまでしなくても」と思われるかもしれませんが、“話をぜんぶ聞く”ということはそれほどむずかしいのです。 どんなにびっくりするようなことを言われても、まずは「そうなんだ」「そんなふうに考えていたんだ」と受け止めるように意識してみましょう。肯定も否定もせずに、ただ受け止めることを意識するのです。 お子さんの話を遮さえぎらず、先を急がせず、アドバイスもせず、もちろん納得がいかないような表情をしたり否定したりすることもせず、お子さんが今、話したいと考えていることを全て吐き出させることができたらベストかと思います。 あなたが話し始めるのは、子どもが全てを出し切り、かつ、子どもが「お母さん(お父さん)の意見を聞きたい」というサインを出してからでも遅くはありません。 次回は「子どもと話をする」ときに大切なことについてお話しします。