それ、食物不耐症かも。赤ワイン、魚…体調変化が現れたら疑うべき代表例4つ(専門家が監修)
アレルギーではなくても、特定のものの飲食後に不快な症状が起こることがある。その多くは食べ物の成分をうまく処理できないことによる「食物不耐症」。代表例を4つ挙げよう。自分の体質と相談して代替の選択肢の検討や摂取の仕方を工夫しよう。[監修/伊藤浩明(あいち小児保健医療総合センター センター長) 参考文献/『食物アレルギー診療ガイドライン2021』(一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会)]
教えてくれた人:伊藤浩明さん
いとう・こうめい/あいち小児保健医療総合センター センター長。米国留学、国立名古屋病院小児科などを経て現職。日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会副委員長として『食物アレルギー診療ガイドライン2021』を監修。医学博士。
乳糖不耐症
牛乳アレルギーじゃないのに、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするなら乳糖不耐症を疑う。 乳糖不耐症は、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を消化できないことで起こる。乳糖は、小腸が分泌するラクターゼという酵素で分解される。このラクターゼの不足や活性の低下で乳糖が分解されずに大腸まで届くと浸透圧が高まり、大腸内の水分量が増える。また、腸内細菌が乳糖を分解するとガスも発生。下痢、腹痛、腹部膨張などの症状が出る。 乳糖は母乳の栄養素だから、乳児はラクターゼの分泌量が多い。だが成長して母乳に頼らずに済むようになると、ラクターゼは作られなくなる。これを「ラクターゼ非持続性(LNP)」という。日本人を含むアジア人の95~100%はLNPであり、乳糖不耐症を起こしやすい。 でも、人類が中東あたりで酪農を始めて牛やヤギなどの乳を飲むようになると、成人になってもラクターゼを作り続ける体質が出現。これを「ラクターゼ持続性(LP)」と呼び、欧米を中心に全人口の約3分の1を占める。 LNPでもお腹がゴロゴロしないタイプは、おそらく大腸内の腸内細菌による乳糖の消化がスムーズに進んでいるのだろう。乳糖不耐症でも、温かいミルクやカフェラテを少量ずつ飲むようにすれば、お腹を下さずに済むこともある。