23区内で“家賃3万円”の激安シェアハウス。オーナーも住人も働かない生活だが「将来の不安はないです」
結婚して、子どもを産んで、家を買う「普通」の生活が、手の届かない存在になってしまったのはいつからだろう。しかし、幸せにはカネが必要だというのはただの思い込みかもしれない。週5勤務、長時間労働、退屈な業務……すべてやめても生きていける。 ⇒市川さんの一日
3万円の激安シェアハウスで自分も住人も働かない生活
働く頻度:月2時間、月の支出:7万円 東京23区内にありながら、月の家賃が共益費込み3万円という激安シェアハウスを運営する市川野宿さん(31)。住人も極力働かない方針の人が中心だ。 「高校を中退後はフリーターをしていました。牧場で競走馬の世話をする仕事をしていたときは、一日16時間労働で休みは半年なし。それで月の給料は8万円でした。その仕事を辞めた後は、工場で正社員として4年ほど働きました。でも、その仕事も飽きてきたので辞めました」
シェアハウスを運営する知人から誘われて…
無職になった市川さんは、シェアハウスを運営している知人から「住むところがないのなら」と誘われ、そこに住み込みで働くようになった。 「その知人に弟子入りする形で共同オーナーになりました。ほかにも便利屋をしている知り合いの仕事を手伝ったり、転売をしたりしてなんとなく貯金もできました。そして、立ち退きを機に住人たちと一緒に引っ越す形で、2軒目のシェアハウスを自分で開くことにしたんです」
「将来の不安はないです。今のままでいいですね」
内装工事は住人と一緒に自力で行った。2か月かかったが、そのおかげで初期費用は50万円で済んだ。物件全体の家賃は月に11万5000円。月の利益は1万5000円ほどだそう。ほとんど儲かっていないが、それでいいという。 「シェアハウスの業務は1時間の掃除を月に2回するだけです。今も便利屋や知り合いの仕事を手伝う以外は、自宅かシェアハウスでほぼ寝ています。月の支出は自宅の家賃4万円と食費の3万円くらい。そもそもシェアハウスは儲けるためではなく、楽しいからやっているんです。住人のみんなと話したり、ゲームしたりするのはタダですし。将来の不安はないです。今のままでいいですね」 利益の出ないシェアハウスの運営はビジネスの観点から見れば無意味に思える。だが、そこに住む仲間との時間があることで、市川さんは娯楽にカネがかからない。ゆえに生活費が極限まで抑えられ、働く必要もないというわけだ。 取材・文・撮影/藤中一平 ―[[もう働かない]生き方]―
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